共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年 - 2008年

内殻励起状態の第一原理計算法の開発とX線分光スペクトルへの適用

文部科学省  科学研究費助成事業
  • 五十嵐 潤一
  • ,
  • 高橋 学
  • ,
  • 長尾 辰哉
  • ,
  • 西川 裕規

担当区分
連携研究者
配分額
(総額)
3,100,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

内殻励起スペクトルの第一原理計算の確立をめざして、内殻正孔ポテンシャルの遮蔽効果を研究し以下の成果を得た。
1. X線光電子分光(XPS)スペクトルの第一原理計算プログラムの開発をすすめた。今年度はプログラムの改良を進め、前年度のFeの計算に引き続き、強磁性CoおよびNi 3s内殻XPSスペクトルの解析を行い、実験結果をよく説明した。この方法の特徴は、光電子の生成により内殻正孔ができたときのポテンシャルのもとで、1電子波動関数をバンド計算により求め、その結果をもとに電子分布を変えることで励起状態を構成し、内殻正孔のない1電子波動関数との重なり積分を計算することにより、XPSスペクトルを求める点にある。内殻正孔1個を含むスーパーセルを用いたAPW法によりバンド計算を行い、波動関数を求める。この成功により、多くの内殻XPSスペクトルの第一原理計算への道が開けたと考えられる。
2. 軌道秩序を示す典型物質であるLaMnO3のMn-K吸収端近傍における共鳴非弾性X線散乱(RIXS)スペクトルをTight-binding模型を用いて詳しく解析し、その入射エネルギー及び偏光依存性の全容を解明した。中間状態に存在する正孔ポテンシャルを遮蔽するためにMn 3d電子による電荷励起が形成され、終状態に残る。基底状態はハートレーフォック近似に基づき、電荷励起に対しては乱雑位相近似(RPA)を用いて電子相関を取り扱った。従来考えられていた4p-3dクーロン相互作用によるorbiton励起によるスペクトルの解釈の誤りを正し、実験結果をよく説明した。この研究成果により、第一原理計算の有力な方法であるGW近似法を用いた計算への道筋がつけられた。