講演・口頭発表等

2022年6月11日

両側の視力低下で発症したビタミンB12欠乏症の1例

第13回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
  • 久野, 遥加
  • ,
  • 共同演者
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  • 共同演者

開催年月日
2022年6月11日 - 2022年6月12日
記述言語
日本語
会議種別
ポスター発表
開催地
横浜

【背景】萎縮性胃炎を原因としたビタミンB12欠乏症は、神経障害や汎血球減少など様々な症状を呈するが、視力低下を認めることは比較的まれである。今回、視力低下で発症したビタミンB12欠乏症の1例を経験したため報告する。
【症例】68歳女性。既往歴なし。主訴は両側の亜急性視力低下、中心暗点。X年7月より、進行性の両側の視力低下が出現し、同年9月に当院眼科を受診した。頭部単純MRIで異常を認めず、ビタミンB12の欠乏(ビタミンB12 138 pg/mL)と大球性貧血(Hb 8.6 g/dL、MCV 124.9 fL)、汎血球減少を認めたため、精査目的で当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査で高度萎縮性胃炎を認め、抗内因子抗体が陽性であったことから、巨赤芽球性貧血と診断した。血清・便中ピロリ菌抗体は陰性であった。甲状腺機能、鉄動態は異常なかった。ビタミンB12 の経口での補充(1000~1500 μg/日)を行った。X+1年1月の時点で約4ヶ月治療を行い、汎血球減少は改善したが、視力は回復しなかった。
【考察】ビタミンB12欠乏症による視神経障害は、緩徐に発症し、無痛性であり、自覚症状を伴わないこともある。ビタミンB12補充により約30~50 %が視力が回復すると報告されており、進行性の視力低下ではビタミンB12欠乏症を疑い、早期に診断・治療をする必要がある。