基本情報

所属
自治医科大学 非常勤講師
学位
医学博士

研究者番号
00397994
J-GLOBAL ID
201801017041310179
researchmap会員ID
7000023565

主要な論文

  61

主要なMISC

  260

主要な書籍等出版物

  20

主要な講演・口頭発表等

  36

主要な共同研究・競争的資金等の研究課題

  21

主要なその他

  1
  • 代謝需要に対する膵島機能の適応調節はグルコース恒常性維持に不可欠であり、その破綻により糖尿病を発症する。糖尿病ではインスリン分泌機能不全とβ細胞量減少を来すが、これらの障害の正確な関係は十分に理解されていない。一方、マウス成体における膵島細胞の同一性に揺らぎが存在し細胞間で相互転換能が認められること、さらに糖尿病モデル動物において提唱されたβ細胞脱分化より、膵島の恒常性と細胞可塑性の関連が推察される。糖尿病モデルマウスでは、β細胞の同一性の喪失がβ細胞の機能と量の低下に寄与し、インスリン産性能を失った内分泌前駆細胞様細胞が増加する。ヒトとの関連について外科切除膵を用いて検討したところ、2型糖尿病患者の膵島でも、非糖尿病の膵島と比較して、クロモグラニンA(ChgA)免疫反応性を保持するが、膵島ホルモン (グルカゴン、インスリン、ソマトスタチン、膵ポリペプチド)が陰性の脱分化細胞の割合が高く、糖尿病の重症度とともに増加し、非糖尿病患者の4%から糖尿病の進行期患者では25%に上昇しており、インスリン分泌と脱分化スコアの間に逆相関関係が認められた。β細胞脱分化を促進する根本的なメカニズムは、遺伝的要因と小胞体ストレスや酸化ストレスなど代謝ストレスの複雑な相互作用が考えられる。これらのメカニズムを理解することで、糖尿病におけるβ細胞の脱分化を逆転させることを目的とした治療法につながる可能性がある。そこで、小胞体ストレス疾患モデルと考えられており、若年発症インスリン依存性糖尿病を主徴とする遺伝性疾患Wolfram症候群(WS)に着目した。WS患者剖検膵では膵島細胞の大部分が膵島ホルモンとともにChgAへの免疫反応性を失っており、それらの一部はamylase陽性化を呈した。疾患モデル動物Wfs1欠損マウスでは離乳後よりβ細胞の成熟性が障害され脱分化していき、さらにβ細胞からα細胞へ分化転換が明瞭に観察された。一方、このマウスでストレス応答分子Thioredoxin-interacting protein(Txnip)を欠損させたところβ細胞の成熟性維持とともに機能的および数的減少を抑止でき糖尿病の発症が予防された。以上より、Wolfram症候群では脱分化がβ細胞不全の成因であり、Wfs1欠損マウスは膵島の細胞可塑性と恒常性破綻の関係を実証するとともに細胞内ストレスによる脱分化のメカニズム解明に有用な動物モデルと考えられる。