2018年4月 - 2022年3月
縮減期の中山間地域での社会的分業に向けた地域資源管理に関するビジネスモデルの構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
中山間地域に許容量を超えて生息する野生動物資源の管理を通じて商流を生み出すジビエ利活用に着目し,経営上の課題を抽出するための全国調査を実施した。農林水産省の公表する野生鳥獣食肉処理加工施設のうち宛先の判明した全施設を対象としたアンケート調査を郵送調査法で実施した。
経営状況は,58%が赤字であり,さらにその過半数は総収入が外部調達費を下回る状態であるとわかった。また,全体の52%が食肉処理業と他事業の複合経営体であり,卸売小売業,飲食業,農林水産業の順に多かった。全体の73%を占める民設民営施設に関する分析からは,全体の獣種や搬入量の不安定な外的要因が経営状況に影響を与えること,解体頭数や従事者数の施設規模,搬入量に対する稼働率や販売量,商品の価格設定などの内的要因も赤字要因となっていることが明らかになった。
施設の経営改善には,獣種や搬入量に合わせた労働及び資本の調節や,販売先の需要に合わせた価格設定及び販売方法の工夫が有効だと考えられる。また,複合経営体や副業・兼業としての施設経営では,他事業間や従事者の余力に合わせた労働の調節が可能である点,さらに施設経営の赤字を他事業や主業の収益でカバーできる点から,外的要因の影響縮小に有効であり,持続的な施設経営が期待できると示唆された。全体の7割を占める民設民営の食肉処理施設の経営破綻を防ぐため,政策目的を遵守する公営施設と,ビジネスとしての健全性を追求する私営施設の棲み分けを検討すべきと考える。
経営状況は,58%が赤字であり,さらにその過半数は総収入が外部調達費を下回る状態であるとわかった。また,全体の52%が食肉処理業と他事業の複合経営体であり,卸売小売業,飲食業,農林水産業の順に多かった。全体の73%を占める民設民営施設に関する分析からは,全体の獣種や搬入量の不安定な外的要因が経営状況に影響を与えること,解体頭数や従事者数の施設規模,搬入量に対する稼働率や販売量,商品の価格設定などの内的要因も赤字要因となっていることが明らかになった。
施設の経営改善には,獣種や搬入量に合わせた労働及び資本の調節や,販売先の需要に合わせた価格設定及び販売方法の工夫が有効だと考えられる。また,複合経営体や副業・兼業としての施設経営では,他事業間や従事者の余力に合わせた労働の調節が可能である点,さらに施設経営の赤字を他事業や主業の収益でカバーできる点から,外的要因の影響縮小に有効であり,持続的な施設経営が期待できると示唆された。全体の7割を占める民設民営の食肉処理施設の経営破綻を防ぐため,政策目的を遵守する公営施設と,ビジネスとしての健全性を追求する私営施設の棲み分けを検討すべきと考える。
- ID情報
-
- 課題番号 : 18K14531
- 体系的課題番号 : JP18K14531