2020年4月 - 2023年3月
CD30阻害療法による実験的関節炎モデルマウスの関節破壊抑制効果の検討
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
TNFαレセプターファミリーのうちの一つであるCD30は、Hodgkinリンパ腫等に高率に発現し治療ターゲットとして臨床利用されている表面抗原である。関節リウマチ(RA)患者の血清および関節液中で、CD30から切断された外部ドメインである可溶性CD30が有意に上昇していることが報告されている。しかし、これまで滑膜組織でのCD30の発現とその発現刺激、病的意義については十分研究されていない。本研究ではCD30がRAの新規治療標的になり得るか検討を行った。
変形性関節症(OA)患者およびRA患者の手術時に採取した滑膜組織に対し免疫染色にてCD30の発現を検討し、OA患者滑膜に対しRA患者滑膜で、CD30の高発現を認めた。蛍光二重免疫染色で検討すると滑膜組織でCD30は形質細胞、B細胞、滑膜線維芽細胞での発現を認めた。in vivoではRAモデルであるコラーゲン抗体誘導関節炎をマウスに惹起し、ブレンツキシマブ・ベトチン(BV)の投与を行い関節炎に対する治療効果を関節腫脹臨床スコア、体重、血清中のSAA, IL-6, TNFαに加え両足部組織標本に対して各種染色方法で評価した。高濃度投与群では関節腫脹に基づく臨床スコアが有意に低下し、血清中のSAAも低値であり炎症が抑制されていることを示していた。病理組織検査では滑膜増生や骨軟骨破壊が高濃度投与群で抑制されていた。
本研究の結果は、RAの滑膜組織では活発な炎症が惹起されている状態で、形質細胞や滑膜線維芽細胞にCD30が発現しており、BV投与によりCD30発現細胞にアポトーシスが誘導され、滑膜増殖による関節破壊を抑制する可能性があることを示唆している。
変形性関節症(OA)患者およびRA患者の手術時に採取した滑膜組織に対し免疫染色にてCD30の発現を検討し、OA患者滑膜に対しRA患者滑膜で、CD30の高発現を認めた。蛍光二重免疫染色で検討すると滑膜組織でCD30は形質細胞、B細胞、滑膜線維芽細胞での発現を認めた。in vivoではRAモデルであるコラーゲン抗体誘導関節炎をマウスに惹起し、ブレンツキシマブ・ベトチン(BV)の投与を行い関節炎に対する治療効果を関節腫脹臨床スコア、体重、血清中のSAA, IL-6, TNFαに加え両足部組織標本に対して各種染色方法で評価した。高濃度投与群では関節腫脹に基づく臨床スコアが有意に低下し、血清中のSAAも低値であり炎症が抑制されていることを示していた。病理組織検査では滑膜増生や骨軟骨破壊が高濃度投与群で抑制されていた。
本研究の結果は、RAの滑膜組織では活発な炎症が惹起されている状態で、形質細胞や滑膜線維芽細胞にCD30が発現しており、BV投与によりCD30発現細胞にアポトーシスが誘導され、滑膜増殖による関節破壊を抑制する可能性があることを示唆している。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K09433
- 体系的課題番号 : JP20K09433