【背景】
透析患者に対する人工弁選択において、機械弁では抗凝固療法による出血性合併症を危惧し、生体弁では石灰化の早期進行が懸念される。透析患者の大動脈弁置換術AVRの予後について生体弁と機械弁の２群を比較検討した。
【方法】
筑波大学附属病院において2013年１月から2018年8月の期間に、維持透析患者に行われたAVR症例を対象とし、僧帽弁置換や三尖弁輪形成を併施した症例は除外した。出血や血栓塞栓になどの人工弁関連合併症、弁非関連合併症、病院死亡、遠隔死亡、術後遠隔期心エコーによる心機能と人工弁機能について検討した。
【結果】
透析患者のAVRは、生体弁B群 21例、機械弁M群11例であった。
年齢はB群74±7歳、M群67±6歳（p=0.001）でB群が有意に高齢であった。
CABG併施はB群9例、M群4例であった。
最新の術後心エコーの最大流速・平均圧較差・LVEFはB群(2.4 m/sec, 15mmHg, 56% ), M群(2.3 m/sec, 15 mmHg, 60%)で２群間に有意差はなかった。
手術死亡はB群１例（NOMI腸