基本情報

所属
大阪大学 微生物病研究所 助教
学位
博士(理学)(総合研究大学院大学)

J-GLOBAL ID
201801000858019514
researchmap会員ID
7000024715

国立遺伝学研究所の相賀裕美子教授の研究室でマウス遺伝学を用いて研究を開始した。修士課程では、当時国内ではほとんど成功例がなかった100kb以上の大きなプラスミド(BAC)を改変し、それを用いたトランスジェニックマウスを作成する技術を確立した(Oginuma et al, Mech Dev 2008)。本技術は、国内外の様々な研究者に伝播することで様々な共同研究に発展した。

博士課程では、それまで全く明らかになっていなかった胚の体幹部の中核をなす体節の周期性を可能にする機構を世界に先駆けて発見した(Oginuma et al, Development 2008)。本研究成果は国際的に高い評価を受け、フランスで開催された国際学会でポスター賞を受賞した。さらに本成果から発展した研究成果を次々と発表した(Oginuma et al, Development 2010, Oginuma et al, Elife 2018)。

発生生物学の権威であるOlivier Pourquie教授の研究室(Institut de Génétique et de Biologie Moléculaire et Cellulaire;フランス、Harvard Medical School;アメリカ)に留学し、フランス政府の競合的研究奨学金を獲得し、ポスドクとして研究を行った。私は留学先では、発生生物学の全く新しい概念を提唱したいと考え、それまでほとんど誰も注目していなかった栄養・代謝の観点から胚発生の研究を行った。そこで質量分析法を用いたメタボロミクス解析と高感度マイクロアレイ法を用いたトランスクリプトーム解析を行い世界で初めて胚の代謝パターンを個体レベルで調べた結果、エネルギー代謝経路が胚で勾配を作成していることを発見し、Wntシグナルと協調して胚の後方パターン形成に寄与していることを発見した(Oginuma et al, Dev Cell 2017)。本成果はマスコミにも大きく取り上げられ、論文評価サイトFaculty of 1000に2回選出され、先見性が高い研究として非常に高く評価されている。さらに私は、ニワトリ胚を用いた蛍光生体イメージング法によりエネルギー代謝経路の下流で細胞内pHが勾配を作成し、細胞内pH勾配がWntモルフォゲン勾配を制御することで胚のパターンを形成することを明らかにした(Oginuma et al., Nature. 2020)。本成果を様々な国の国際学会で発表した結果、注目度の高い研究として非常に高く評価され、日本発生生物学会、Wnt研究会ではポスター賞、さらに2019年度生体調節研究所所長賞を受賞し、その成果は国内の複数の新聞にも掲載された。

現在、私は帰国し群馬大学・生体調節研究所を経て大阪大学・微生物病研究所に助教に着任し、蛍光イメージングに最適なゼブラフィッシュを用いて、エネルギー代謝経路の様々な代謝物を可視化するレポーターを樹立することで、これまでの自身の発見を発展させた研究であるエネルギー代謝経路やオートファジーの観点から組織形態形成、組織形態維持機構の解明に取り組んでいる。さらに最近、所属研究室が新規モデル生物であるターコイズキリフィッシュを導入・実験基盤の確立に成功したのを受け、代謝制御が重要な役割も持つと考えられる発生休眠機構ターコイズキリフィッシュ胚のエネルギー代謝活性及びオートファジー可視化解析や、申請者が最近構築した小型魚類高速ゲノム編集法(Oginuma et al,. under preparation)によって明らかにしている。


【受賞歴等】
(1)Poster Award; Joint meeting of the SFBD/JSDB, 2009
(2)Fondation pour la Recherche Médicale (FRM) fellowship 2012~2014
(3)Feldman B: F1000Prime Recommendation, Mar 2017
(4)DeSimone D W and Dzamba B: F1000Prime Recommendation, Mar 2017
(5)Poster Award; Joint Meeting of JSCB 70th & JSDB 51st, 2018


研究キーワード

  5

論文

  20

MISC

  10

書籍等出版物

  5

講演・口頭発表等

  47

共同研究・競争的資金等の研究課題

  7

学術貢献活動

  1

社会貢献活動

  3

メディア報道

  2