共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

疾患リスクと母児ゲノムおよび胎児発育トラジェクトリーの関連性の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K09594
体系的課題番号
JP20K09594
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

低出生体重児が、心血管疾患、高血圧、2型糖尿病などの疾患を発症するリスクが高い機序について、対峙した2つの考え方が議論されてきた。1つはDOHaD仮説であり、そこでは、「不良な子宮内環境が、胎児の成長過程を乱し、出生体重を低下させ、さらに疾患発症の素因も形成させてしまう」と考える。母親の低栄養、ストレス、喫煙などが、子宮内環境を悪化させる原因と考えられている。もう1つは、「出生体重低下と疾患発症は、子宮内環境には関係がなく、共通の遺伝要因によってプログラムされている」というものである。
本邦は世界的にも低出生体重児の割合が高く、今後の疾患発症率の増加が懸念されている。特に若い女性の痩せの割合が多いため、DOHaD仮説に基づき、児の疾患予防のために妊娠前・妊娠期の母親の体重を増やすことに関心が払われている。しかし、これらの議論は、母児のゲノムや個性、胎児の成長過程の分析に基づいておらず、緻密性に欠ける。
本研究は、自身のこれまでの胎児発育トラジェクトリーの解析の成果を踏まえ、遺伝統計解析、および大規模な疫学解析を行うことにより、新たな視点から母児の健康向上のための有用な知見を提示することを目的としている。
本年度は、ポリジェニックスコアを用いた遺伝統計解析により、母の高血圧SNPは血圧上昇を介さず、胎盤成長を阻害することにより、胎児の成長速度を低下させ、出生体重低下を引き起こすことを世界で初めて明らかにした(論文投稿中、プレプリント公開済)。この発見により、上記の2つの考え方を対峙させるのではなく、融合させることが合理的であることが示唆された。周産期データベースを用いた分位点回帰分析による妊娠中体重増加量の出生体重への効果については、データクリーニングを終え、正期産を対象として解析し、妊娠前BMIのみならず、他の個人的要因を考慮した体重増加の適正範囲を算定する必要性を明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K09594
ID情報
  • 課題番号 : 20K09594
  • 体系的課題番号 : JP20K09594

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  2