論文

査読有り
2019年2月

脂肪腫症、腎血管性高血圧および糖尿病を呈するSchimmelpenning症候群患者における接合後のKRAS変異(A postzygotic KRAS mutation in a patient with Schimmelpenning syndrome presenting with lipomatosis, renovascular hypertension, and diabetes mellitus)

Journal of Human Genetics
  • Nagatsuma Misako
  • ,
  • Takasawa Kei
  • ,
  • Yamauchi Takeru
  • ,
  • Nakagawa Ryuichi
  • ,
  • Mizuno Tomoko
  • ,
  • Tanaka Eriko
  • ,
  • Yamamoto Kouhei
  • ,
  • Uemura Noriko
  • ,
  • Kashimada Kenichi
  • ,
  • Morio Tomohiro

64
2
開始ページ
177
終了ページ
181
記述言語
英語
掲載種別
出版者・発行元
Nature Publishing Group

症例は6歳女児で、乳児期に臨床学的にSchimmelpenning症候群と診断され、今回、尿糖検査陽性のため受診となった。血液化学分析では高血糖(11.2mmol/L)が認められたが、HbA1cは5.8%と正常範囲内であった。しかし、患児の父親が若年期に糖尿病発症による食事および運動療法の治療歴を有していたこと、患児に高血圧の同時発症が認められたことから、精査目的のため入院となった。理学的所見では顔面と頸部右側に脂腺母斑(NS)が観察され、脳/脊髄MRI所見では右側頭葉異形成と脂肪腫が描出された。また、耳鼻科および眼科検査では右側聴力喪失、弱視、角膜縁類皮腫を認め、腹部MRA所見では、腎血管性高血圧による多数の動脈狭窄が描出された。さらに、持続血糖モニタリングでは食後高血糖を呈し、インスリン分泌指数およびC-ペプチド免疫反応性指数は低値を示し、早期インスリン分泌とβ-細胞機能障害を伴っていた。NS病変部位、血液検体、非病変皮膚、毛髪および口腔粘膜から抽出したゲノムDNAを解析した結果、NSのみに既報の病原性KRASミスセンス変異c.35G>A(p.Gly12Asp)が同定された。以上の所見から、本例は接合後のKRAS Gly12Asp変異によるSchimmelpenning症候群と診断された。

ID情報
  • ISSN : 1434-5161

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