共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年4月 - 2005年3月

「リスク社会」における地域情報空間の配置と亀裂に関する比較研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業  若手研究(B)

課題番号
15730251
体系的課題番号
JP15730251
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,500,000円
(直接経費)
3,500,000円

研究代表者は平成12年度から13年度にかけて、「リスク社会における情報空間と社会的亀裂に関する比較都市研究」というタイトルで科学研究費を受けているが(課題番号13710119)、平成15年度から開始された本課題はその継続という性格を持っており、本年度が最終年度となる。
本課題による成果は3点に要約できる。第1に新潟県巻町・柏崎市を対象とした地域社会研究が終了したことである。毎年1回の現地調査によって継続的に情勢をフォローしてきたが、平成15年度末に巻町民を対象としたサーベイ調査を実施した。これらのデータをもとに、地域情報空間の配置に関する比較研究の成果として、『住民投票とローカルレジーム』(ハーベスト社)を世に問うた(2005年11月)。これが最終年度にふさわしい成果としてまず挙げられる。第2に、メディア・社会情報研究と地域社会学を結びつけ、情報空間の地域間格差に関して理論的彫琢を行い、その成果を『講座地域社会学』(東信堂,2006年1月刊行予定)および『越境する都市とガバナンス』(法政大学出版局,2006年1月刊行予定)に執筆した論文に盛り込んだ。第3に、当初構想していた研究課題からさらに進んで、北海道野幌におけるまちづくり活動を暫定的に総括する論文(中澤・大國 2005)やサステナブル都市論を日本に適用する論文(中澤 2004)、地域間比較の視点のもとに持続可能な地域自治を探求する仕事(中澤 2005)も積み重ねてきた。この3年間において発表した著書・論文は(共著を含め)合計13編にのぼり、与えられた研究費に比して十分効果的に、研究課題の目的を達成したと考えている。
以上の成果から明確化してきた今後の方向性は2つある。A.東京圏内、あるいは東京圏と非東京圏の亀裂の状況を、より総合的に明らかにすること。B.その亀裂状況をこえて、持続可能な自治のモデル(ビジネスモデルならぬガバナンスモデル)を探求していくこと。とくに後背地としての農村をプロデュースしながら存立基盤を作っていけるような都市のあり方を理論化し、同時に説得的な具体例を構築していくこと、である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15730251
ID情報
  • 課題番号 : 15730251
  • 体系的課題番号 : JP15730251