共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

CDK4/6阻害による滑膜線維芽細胞選択的な関節リウマチ治療法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
19K17884
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究では細胞周期制御分子であるCDK4/6の阻害が滑膜線維芽細胞からの炎症メディエーターの抑制をもたらすメカニズムを解析している。すでに転写因子AP-1の抑制が主なメカニズムであることがわかっていた。AP-1の発現は、サイトカイン刺激によって亢進するが、ベースラインおよび刺激後に誘導される発現レベルは、血清の濃度が極めて重要であることを明らかにした。血清中の成分のうち、CDK4/6依存的にAP-1の発現レベルを規定する因子を同定した。すなわち、CDK4/6の阻害が、血清依存的に決定されるAP-1の発現レベルおよび、サイトカイン刺激後のupregulationを抑制すること明らかにした。
滑膜線維芽細胞でAP-1が抑制される分子学的なメカニズムの解析では、あるAP-1構成因子のユビキチン化がCDK4/6の活性に依存して抑制されていること、CDK4/6を抑制すると、ユビキチン-プロテアソーム系を介してAP-1構成因子の分解が亢進することを明らかにした。
既報として報告されたCDK4/6の基質のうち、FOXM1の発現と制御を検討した。乳癌細胞株は既報通りCDK4/6阻害でFOXMの抑制が見られたが、滑膜線維芽細胞ではFOXMの発現レベルが極めて低く、従来の手法では検出できないことが分かった。酵素の基質には細胞特異性があるため、今後は滑膜線維芽細胞でCDK4/6の基質として働く分子を見出し、解析対象としていく。
本現象には細胞特異性がある可能性が示唆されていた。実際に、複数の血球細胞株を使用して、AP-1依存的とされるサイトカイン産生を検討しているが、CDK4/6阻害による抑制作用は見られなかった。よって、当初の仮説の通り、CDK4/6阻害が有する抗炎症作用は滑膜線維芽細胞に特異性が高いといえる。

ID情報
  • 課題番号 : 19K17884

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  3