2020年12月30日
中国語・日本語における完結性の習得―中国語・日本語双方向学習者コーパスに基づく検証―
東京外国語大学論集
- 巻
- 号
- 101
- 開始ページ
- 53
- 終了ページ
- 100
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 東京外国語大学論集
本研究では,中国語・日本語学習者コーパスの双方向的分析を通して, 完結性を表す文法形式の第二言語習得と学習者の母語の類型の相関性を論じる。 まず, 日本語母語話者による中国語学習者コーパスでは,アスペクト表現の誤用「実現性を表す結果補語の脱落」及び「未実現性を表す助動詞<会>の脱落」が顕著である。一方,中国語母語話者日本語学習者コーパスでは,日本語において出現頻度も高い「アスペクトを表す複合動詞」(e.g. 将然相:~かける/かかる,始動相:~だす,完結相:~上げる/上がる)等の非用や, 動詞の自他の誤用(特に結果性を表す自動詞の過剰使用)が顕著である。 中国語学習者によるこのような誤用・非用は,アスペクト表現において,中国語では事象の「実現/未実現」を表示する「有界的」(bounded)表現が卓越しているのに対し, 日本語では「無界的」(unbounded)認知が卓越しているという類型的相違に起因することを論じ, 学習者の母語をふまえた中国語・日本語教授法を提案する。
- リンク情報
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- 共同研究・競争的資金等の研究課題
- 国際連携・高大連携による英語・中国語・日本語「作文/対話」学習者コーパスの研究
- 共同研究・競争的資金等の研究課題
- 海外連携による日本語学習者コーパスの構築および言語習得と教育への応用研究
- URL
- http://repository.tufs.ac.jp/handle/10108/95716 本文へのリンクあり