基本情報

所属
大阪大学 大学院人文学研究科 教授
学位
M.Phil. in History(1998年7月 University of Birmingham)
博士(人文学)(2004年3月 創価大学)

連絡先
maekawa.ichiro.hmtosaka-u.ac.jp
J-GLOBAL ID
201801001876813780
researchmap会員ID
7000026510

 前川一郎編『歴史学入門――だれにでもひらかれた14講』昭和堂、2023年。 

 本書は、タイトルの通り、歴史学の入門書です。

 サブタイトルに「だれにでもひらかれた」とあるように、歴史学を専攻しているかどうかにかかわらず、歴史に関心があればだれもが、その気になればすぐにでも専門的な学びの入り口に立てるようにいざなう手引書、そこで歴史学のおもしろさをもっと味わってもらえるような、入門書の入門書たることを目指しています。

 2部構成全14章。第Ⅰ部「歴史学の見方と方法」は、歴史学の基本的な方法や史学史、歴史教育の現状を扱う章のほか、科学史や海洋史、思想史といったユニークなテーマをとりいれ、現代歴史学の要点を多角的に論じています。

 そのうえで第II 部「過去を通じて現在を知る」は、過去を学び現代への理解を深める歴史学の醍醐味を、テーマスタディーとして提示しています。グローバリゼーション、国家、民族、人種主義、ジェンダー、経済格差、帝国主義、戦争など、テーマや扱う時代は選択的にならざるをえませんでしたが、グローバル化する現代世界の歴史学的理解を促進する一方、人類が直面してきた格差や差別や不平等といった理不尽な現実にも読者の意識をうながす内容になっています。

 このように、専門書の体裁を整えているとはいえ、コンセプトはあくまでも「だれにでもひらかれた」入門書。歴史学を無理なく日常に取り込むやりかたを提示することに努めました。

 私は、「はしがき」と「あとがき」、そして各部紹介のほかには、第1章「歴史学」と第13章「帝国主義」を執筆していますが、例えば第1章は、伝統的な史学概論のスタイルをとってはいません。すなわち、<だれもがだいたいこのくらいはおさえておきたい>歴史学の基本として、①歴史学は事実にこだわる、②その方法をつねに試行錯誤しつづける、③そうした過去への探求がいまを深く知る手助けになる、と歴史学の骨格を文字通りに換骨奪胎し、いわゆる事実立脚性と論理整合性、コンセンサスによる客観性といった考え方をわかりやすく示すことに注力しました。

 第13章では、帝国主義や植民地主義をめぐる近年の研究成果の要点を整理しながら、今般のウクライナ戦争を理解するのに帝国主義の世界観を参照することが有効である、と現実理解への歴史学の活用例を示しています。

 要するに、これらは私なりのパブリックヒストリーの実践のひとつです。共著者に恵まれ、多くの読者を得て、出版1年を待たずに重版の運びとなりました(第4刷、2026年3月)。さらに多くの読者に手に取っていただき、ご批判を仰ぎたいと願っています。


経歴

  20

委員歴

  3

論文

  20

MISC

  16

書籍等出版物

  17

講演・口頭発表等

  24

共同研究・競争的資金等の研究課題

  15