講演・口頭発表等

2022年6月11日

プライマリ・ケア医が標榜する一診療所内の心療内科における受診患者の実態

第13回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
  • 梶川 奈月
  • ,
  • 吉本, 尚
  • ,
  • 横谷省治

開催年月日
2022年6月11日 - 2022年6月12日
記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
日本プライマリ・ケア連合学会
開催地
横浜

【背景】精神疾患患者は増加傾向にある。心療内科は精神科と同様にメンタルヘルスの相談先として認知されている。精神疾患は身体症状を主訴に受診することが多く、プライマリ・ケア医が適切に対応することが求められる。心身医療と家庭医療には親和性が高いが、プライマリ・ケア医のみで構成され心療内科を標榜している診療所は限られていると考えられる。
【目的】プライマリ・ケア医が行っている心療内科外来である北茨城市民病院附属家庭医療センター(KCF)の心療内科外来の患者の実態を明らかにする。
【研究デザイン】カルテレビューによる横断調査
【対象、セッティング】2020年1月から2020年12月にKCFの心療内科(予約制)を受診した初診患者
【介入または主たる要因】なし
【主たるアウトカム指標】性別、年齢、紹介元の有無、主訴、初診日の診断名、処方内容、転帰。主訴・診断については、プライマリ・ケア国際分類第2版(ICPC-2)を用いてコーディングを行った。
【統計解析方法】記述統計
【結果】123名が受診した。75人(61.0%)が女性であり、年齢は38.9±19.5歳であった。44人(35.8%)が通院中の疾患があり、32人(26.0%)が向精神薬を処方されていた。他院からの紹介患者は22人(17.9%)であった。主訴(複数可)のICPC-2コードは、95人(77.2%)がP心理・精神であり、22人(17.9%)がA全身および部位が特定できないもの、21人(17.1%)がN神経であった。初診時の診断名(疑いを含む)のICPC-2コードは104人(84.6%)がP心理・精神であった。転帰として、63人(51.2%)が初診から3か月以内に終診となり、39人(31.7%)が1年時点で継続通院中であった。21人(17.0%)が経過中に他院に紹介となった。
【結論】プライマリ・ケア医が標榜する心療内科に受診する患者の多くは心理・精神の症状を訴えており、心理・精神の診断がついた。プライマリ・ケア医が地域でのメンタルヘルス診療の担い手として地域内で一定の機能を果たせている可能性が示唆された。