2018年4月 - 2021年3月
農村におけるwell-beingと農業効率化の関連性に関する実証分析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度の研究成果の第1は、農村のQOLであるwell-beingをどのように捉えるかについて、well-beingの理論、概念の検討を行った。幸福度と効用理論の関係性について、始祖A.Smith以降の経済理論、効用理論の系譜について検討した、特に、新古典派以降の効用理論は矮小化して扱えないことを示したが、A.Senのケーパビリティ概念とは整合性があり、ケーパビリティを幸福度に関連付け、幸福要因として扱えることを論じたので、今後、ケーパビリティ研究の成果を調査項目に加える予定である。第2に、継続して幸福度の調査を行っている3市町村について、幸福度形成要因の調査結果についての数値を比較したことである。統計的な検定を経た考察によれば、地域として、明確な特産物や産消連携の組織的取り組みを長年やっていて、活力があるよりある地域ほど、総合的な幸福度は高く、幸福要因も、各種の生活満足度も高くなることが明らかとなった。今後、本研究を推進していく上で、QOL及びwell-being解釈の前提となり、考察、検証に大きな意義を持っている。調査対象の継続性をもたせるという意味でも重要な結果である。第3に、well-beingを検討する上で必須となる行動経済学の観点の導入に関して、消費者を対象に分析をしたことである。食品の購入に関し消費者は何を考え、行動するのか、従来の効用最大化理論に替わり意識と知識、損失回避を考慮したモデルを考察し、リピーターとなる要件について考察をした。情報が行動に与える影響についても検討をしている。それらがマーケティングどのように役に立つのかは、農村においてwell-beingを高めるために、農産物を売ることに対し示唆を与えるとともに、今後の調査項目に加えることを考慮する。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K05853