産婦人科領域において術後に開放創とする必要性が生じるような、重篤な創部感染を来すことは稀である。今回子宮体癌術後に非常に重篤な創部感染を来し、デブリードメント施行後の開放性創傷に対して陰圧閉鎖療法(vacuum-assisted wound closure;V.A.C.療法)が有効であった一例を経験したため報告する。症例は66歳、子宮体癌cT1bN1M0、FIGO stage IIIC1と診断し、単純子宮全摘術・両側付属器摘出術および仙骨腫大リンパ節摘出術を行った。術後5日目より感染を疑う浸出液増加を認め、術後6日目にデブリードメントを施行した。開放創としたうえで術後8日目よりV.A.C.療法を開始した。それ以降の経過は良好であり26日目から創部縫縮を行い、術後42日目で閉創しV.A.C.療法は終了した。術後56日目に上皮化を認め、創部接着が良好であったため全抜糸となった。婦人科術後創部感染例におけるV.A.C.療法は報告が少ないが、術後の創部感染を制御し創傷治癒を促進させる治療法として有効であった。(著者抄録)