共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

Jmjd3過剰発現マウスを用いたエピジェネティックな前立腺癌発症機序の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
17K11170
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

今年度は、Jmjd3 cKIマウスに発癌促進目的にp53ヘテロ欠失(p53+/-)を交配させ、Jmjd3 cKI,p53+/-を得た。更に前回と同様にHigh fat diet (HFD)を一定期間投与し、表現型の獲得を試みた。HFDの投与期間については十分長期の内服が必要と考えられたが、8ヵ月の投与で全てのマウスが高度の脂肪肝を呈し、一部のマウスは因果関係が否定できない突然死を迎えていた事から、最大でもこれまで同様の8か月程度が限界と思われた。現在Jmjd3 cKI,p53+/-マウス、対照群となるCtrl,p53+/-マウスに高脂肪食投与を行っている。
また、表現型獲得が困難であった場合に備えて、我々は本研究と平行してJmjd3と同じヒストンH3K27脱メチル化酵素であるKDM6A(UTX)にも着目した。Utxは、Jmjd3と同じ機能ドメイン(JmjCドメイン)を持つ一方で、その上流に、Jmjd3には存在しないTPRドメインを併せ持つ。更にKMT2D等とCOMPASS-like complexと呼ばれる複合体を形成する事で、H3K4のメチル化にも関与する事が示されている。
UTXは前立腺癌においては機能欠失型変異が10%程度報告されている。これはUtx変異が報告されている全癌腫のうち、3番目に高い頻度である。そこで我々はUtxのTPRドメイン上にあるexon11, 12をloxP配列ではさんだUtx floxedマウスを作製し、前立腺特異的CreであるPb-iCreを交配させる事で、Utx conditional KO (cKO) マウスを得た。
このUtx cKOマウスを用いて、Jmjd3 cKIマウスと同様の解析プランを実行予定である。

ID情報
  • 課題番号 : 17K11170