Research Projects

Apr, 2017 - Mar, 2020

進化上保存された細胞極性形成ネットワークによる新規の微小管制御機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

Grant number
17K07756
Grant amount
(Total)
4,940,000 Japanese Yen
(Direct funding)
3,800,000 Japanese Yen
(Indirect funding)
1,140,000 Japanese Yen

本研究は分裂酵母を用いて、進化上保存された細胞極性形成ネットワーク(MOR経路)による新規微小管制御機構の解明と当該制御機構と細胞増殖制御との関係解明を目指す。昨年度の解析から、MOR経路変異体では細胞周期間期に形成される細胞質微小管の本数が顕著に増加することを発見した。つまりMOR経路は細胞質微小管の本数を適切に維持するために重要であることが示唆された。平成30年度は、MOR経路による細胞質微小管の制御機構を解明するため、当該制御機構の新規関連因子を探索した。そのアプローチとして(1)既知の微小管関連因子の遺伝子破壊株を用いて、MOR経路変異による細胞質微小管の増加に関わる因子の探索と(2)これまでに取得したsup変異体(MOR経路変異体の微小管重合阻害剤感受性を抑圧する変異体)の原因遺伝子の同定と当該遺伝子の機能解析を行った。
(1)既知の微小管関連因子の遺伝子破壊株とMOR経路変異体との二重変異体を構築し、MOR経路変異による細胞質微小管の増加を抑圧するものを探索した。その結果、複数の微小管結合因子が関わることがわかった。その中には微小管プラス端に局在し微小管形成に関わる因子が含まれていた。現在選抜因子による微小管制御とMOR経路との関係について解析を進めている。
(2)取得したsup変異体(6遺伝子座に分類、sup1-6変異体)のうち、sup5変異体の原因遺伝子を同定し、細胞質微小管制御におけるSup5の機能を明らかにした。sup5変異体の原因遺伝子は、核外輸送に重要なexportinをコードするcrm1であった。crm1/sup5変異体は核外輸送に異常を示し、野生株よりも細胞質微小管の本数が減少していた。さらにこの表現型は核内輸送に依存することを示した。以上の結果より、核-細胞質間の適切な輸送が、細胞周期間期の細胞質微小管形成に重要であることを明らかにした。

ID information
  • Grant number : 17K07756