基本情報

所属
山形大学

ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-8035-791X
J-GLOBAL ID
201901003251753070
researchmap会員ID
7000029324

大腸がん浸潤先進部におけるMφの役割

様々ながんにおけるHO-1の高発現が患者の予後不良に関与することに着目し、「大腸がん浸潤先進部におけるHO-1+Mφが多いほど、大腸がんの進展を促進する」と仮説を立て後方視的研究を行いました。その結果、HO-1+ Mφの多い群の方が、リンパ節転移を促進することに加え、無病生存期間も短かったことが明らかとなりました。さらに、大腸がん浸潤先進部の簇出の程度が患者の予後不良に関与していることに着目し、「大腸がん浸潤先進部の簇出領域では、Mφが大腸がん細胞のシグナル伝達を促進させる」と仮説を立て、簇出領域のMφの検索と、IL-6に関わるシグナル伝達を検索しました。その結果、簇出領域において多数のMφが分泌するIL-6は、大腸がん細胞のIL-6R/STAT3シグナル伝達を促進させることが示唆されました。これらの経験から、肝転移巣の浸潤先進部におけるMφから大腸がん細胞へのシグナル伝達を解明するための実験手法を身につけています。

大腸がん以外のがんにおけるMφの役割

トリプルネガティブ乳がんの腫瘍辺縁領域におけるPD-L1+細胞とCD8+T細胞が共局在することに着目し、「CD8+T細胞が、腫瘍辺縁領域におけるPD-L1+細胞を誘導している」と仮説を立て、2つの細胞における組織レベルの空間解析(Histological spatial analysis)を行いました。その結果、CD8+T細胞が、CCL2を分泌しMφと相互作用することで、MφにおけるPD-L1発現が誘導されることが示唆されました。甲状腺がんの組織型における転移様式の違い(乳頭癌のリンパ節転移と濾胞癌の血行性転移)に着目し、「Mφがん細胞とともにリンパ管を傷害することによって、乳頭癌におけるリンパ管侵襲が促進される」と仮説を立て後方視的研究を行いました。その結果、濾胞癌と比較して、乳頭癌のリンパ管周囲のM2Mφの数が多く、MMP-2を発現していることが明らかにしました。これらの経験から、大腸ではない臓器においても、微小環境におけるMφの役割を明らかにすることが出来ます。

リンパ腫微小環境およびIgG4関連疾患における間質細胞の役割

濾胞性リンパ腫の微小環境における主な間質細胞である濾胞樹状細胞(FDC)のエストロゲン受容体α(ERα)の発現に着目し、「FDCがリンパ腫やその類縁疾患の悪性度もしくは発症に関与する」と仮説を立て後方視的研究を行いました。免疫染色標本のWhole slide imagingを用いたImageJやHALOによるFDCの半定量的解析の結果、腫瘍微小環境内のFDCの数が、リンパ腫やその類縁疾患の悪性度や発症に関与することを示しました。また、IgG4関連唾液腺炎では、線維化が二次リンパ濾胞外に誘導されていることに着目し、濾胞周囲の線維芽細胞と形質細胞の相互作用を組織レベルの空間解析で検索しました。その結果、IgG4関連唾液腺炎の二次リンパ濾胞周囲では、B細胞から分化した形質細胞がPDGF-βを分泌し、線維芽細胞のPDGF-β受容体/STAT3シグナル伝達を促進し、線維化が誘導されることが示唆されました。これらの経験から、組織レベルの空間解析(Histological spatial analysis)で、Mφなどの間質細胞とがん細胞との相互作用を明らかにすることが出来ます。


学歴

  1

委員歴

  2

受賞

  1

論文

  48

MISC

  15

担当経験のある科目(授業)

  3

所属学協会

  5

共同研究・競争的資金等の研究課題

  3