共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

人工死産を決断した両親に対する支援の充実:体験者の声にもとづくリソースの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K10487
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究では体験者の声に基づく支援のガイドブック作成が目的の一つとなっている。2018年度は文献検討、及び体験者や医療者に対するヒアリングを行い、ガイドブックに含める内容の方向性を検討した。また、今後の研究の方向性を再検討した。
ガイドブックの内容の検討を終えて、妊娠の中断を決めるプロセスとその過程における苦悩や、子どもとの出会いと別れ、その後の苦悩に加えて、「出産の痛み」の体験にも注目が必要ではないかと考えている。出産の痛みに対して両親が付与する意味は、通常の死産とは異なるものが見いだされる可能性がある。また、人工死産の体験者にとって「安全」を感じる場所・人の存在は極めて重要であることが示唆された。「安全」は周産期喪失の中でも人工死産に特有の概念であり、両親にとっての「安全」とは何か、医療者に理解を促すことが必要である。
研究の方向性として、当初は医療者に対する支援のガイドブック作成を予定していたが、ヒアリングを通して医療者だけでなく、両親に対してもなんらかのガイドブックが必要であることが示唆された。なぜならば、両親は信頼できる情報を得ることが難しいという現状にあるからである。人工死産特有の強い自責感との付き合い方、次の妊娠における遺伝に関する情報などを体験者は求めている。しかし、周産期喪失後の情報提供のツールとして、人工死産に特化したものは現在の日本に存在しない。人工死産に特化した体験者向けのガイドブックの作成は、そのガイドブックを媒介に医療者が両親とコミュニケーションをとりやすくなる、という二次的な効果も期待される。
これらの検討を経て、2019年度は体験者に対するインタビューを実施する予定である。

ID情報
  • 課題番号 : 18K10487

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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