基本情報

所属
東北大学 大学院生命科学研究科 脳生命統御科学専攻 神経ネットワーク講座 脳機能発達分野 教授
学位
博士(生命科学)(2007年3月 京都大学)

J-GLOBAL ID
201701002420641021
researchmap会員ID
7000020986

外部リンク

生物の遺伝情報ととしてDNA(デオキシリボ核酸)が重要ですが、ヒトなどの種では、DNA上の情報のみでは生存し、子孫を残すことはできません。ヒトにおいては家族や社会を通じて受け継がれる言語や文化などの情報も遺伝すると考えることができ、このような世代を超えた知識の蓄積が今日の現代人類の繁栄をもたらしていると推測されます。一方で、言語など、ヒト固有と考えられている後天的な能力の多くは、適切なモデル動物の不在からその神経メカニズムなど多くの部分が分かっていません。鳥類の多くを占める鳴禽類(スズメ目)は、「歌」と呼ばれる複雑な音声シーケンスを用いて他個体とコミュニケーションをとります。さらに、鳴禽類の一部の種は生後にそのような音声シーケンスの使い方を学習して獲得するなど、鳴禽類の音声コミュニケーションとヒトの言語コミュニケーションとはいくつかの似た特性を持つことが知られています。私は、鳴禽類が音の並びを指標に音声情報を識別する能力の情報処理のメカニズム、およびそれを可能にする神経メカニズムとその生後発達のメカニズムを、動物ヴァーチャルリアリティ技術や脳内イメージング技術などの先端技術を駆使して明らかにすることに取り組んでいます。これにより、ヒトの言語理解など、高次音声情報処理に関わる神経メカニズムの生物学的基盤を明らかにすることを目的とし、さらには、これらのメカニズムを人為的に操作することで、後天的能力の獲得を促進するような教育システムの構築を目指しています。

 また、この様に経験に依存して脳が変容する過程では遺伝子発現の変化が神経回路の変化を主導します。この際、生体内で無数の遺伝子が複雑に発現変化しますが、それらを制御する主な機構の1つが転写制御因子による遺伝子発現制御です。我々は生体内における転写制御因子の活性を測定する手法を開発し、経験、発達、学習、または疾患の過程で、生体内の転写因子活性はダイナミックに変動することを明らかにしました。現在は、転写制御因子による遺伝子発現制御の機構とその生理意義を明らかにするとともに、それらの転写因子活性の働きに人為的に介入することによる疾患の予防・治療に取り組んでいます。

 


論文

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所属学協会

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共同研究・競争的資金等の研究課題

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