2009年
日本語動詞形の習得順序--使用依拠アプローチ(usage-based approach)の観点から
言語情報科学
- 巻
- 号
- 7
- 開始ページ
- 33
- 終了ページ
- 50
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
本稿では、日本語の動詞形を母語話者はどのような順序で習得するのか、使用依拠アプローチ(Langacker 1988, 2000, Tomasello 1999, 2003)の観点から解明を試みた。岩立(1981)は、日本語の動詞の語形習得を、「くっつき仮説」という一定の習得順序によって一般化しているが、問題があるとも指摘している。よって、この仮説の妥当性を再検証するとともに、仮説の問題点 : (i)動詞によって語形の習得順序が異なる(ii)仮説に矛盾するデータが存在する、について検証した。研究資料には、一男児の1才から3才6ヶ月の発話データを用い、主に「行く」「来る」の2つの動詞を分析対象とした。その結果、岩立(1981)の仮説が支持されたとともに、次の点が新たに確認された。(1)動詞の語形習得にはある一定の順序が見られる。(2)動詞の語形の習得には、一般的認知能力とともに社会的認知能力が関係している。(3)語結合の前に、動詞がスロット、接辞が軸となるピボットスキーマが形成される。
- リンク情報
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- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/120005245864
- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11831019
- ID情報
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- ISSN : 1347-8931
- CiNii Articles ID : 120005245864
- CiNii Books ID : AA11831019
- identifiers.cinii_nr_id : 9000237879501