共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

官僚制の憲法学的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
18J11799
体系的課題番号
JP18J11799
配分額
(総額)
900,000円
(直接経費)
900,000円
(間接経費)
0円

本研究は、官僚制に関する研究がわが国の憲法学研究において過少であるとの認識に基づき、この未開発の研究領域を開拓することを目的とするものである。
本年度は、研究課題である官僚制と密接に関わる問題として、憲法72条にいう「行政各部」の編成をめぐる問題を検討した。特に、行政組織編成権に関する研究と、副大臣・大臣政務官・大臣補佐官に関する研究を集中的に行った。
前者に関する研究は、これまでの日本でも多くの研究成果が積み上げられてきた。しかし、行政組織の編成が法律事項なのか命令事項なのかについては、近時でも中堅・若手研究者の間で議論がなされている。そこで、近時の学説について批評を加えると共に、その学説を採用する際に行政実務が受けると思われる影響もあわせて考察した。また、ドイツ及びフランスにおける行政組織編成権についても、日本の制度・理論のより良い理解のため研究した。
これに対して、後者に関する研究は、極少数の優れた業績があるだけで、わが国では従来ほとんどなされてこなかった。しかし、政治主導体制の確立を目指した改革の一要素である副大臣・大臣政務官制度が、いかなる法的設計の下、どの程度当初の目標を達成できたのか、また、目標を達成できなかったとすれば、そこに法制度上の欠陥はないのかを検討することは重要である。そこで、副大臣・大臣政務官・大臣補佐官をめぐる法的制度の現状を検討した上で、その問題点について、ドイツ及びフランスの類似制度と比較することで検討した。
また、本研究に関連して、行政の専門技術的裁量が認められた判例の評釈を行なった。その成果は、沼本祐太「旅券法19条1項4号及び同規定に基づく処分の合憲性・合法性」法学論叢184巻3号(2018年)98頁以下として公表された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18J11799
ID情報
  • 課題番号 : 18J11799
  • 体系的課題番号 : JP18J11799