2020年4月 - 2024年3月
線維筋痛症モデルにおけるミクログリアを介したリゾホスファチジン酸分子機構の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
本研究では、線維筋痛症のメカニズムを解明するために、脳内ミクログリアの活性化に着目して研究を進めている。これまでに線維筋痛症モデルにおいて、ミクログリア阻害剤を脳室内投与することで痛みが減弱することがわかっており、脳内ミクログリアの活性化が痛みを誘発する可能性を見出している。しかしながら、どの領域のミクログリアが痛みに関与しているか、不明である。そのため、脳領域特異的に、脳内ミクログリアと痛みの関係性を調べるために、ミクログリアを特異的に認識するプローブである[18F]DPA-714を用いてPET撮像を行った。当初、線維筋痛症モデルのPET撮像を考えたが、免疫染色で顕著なミクログリアの活性化を検出できないこと、マウスモデルによるPET解析の問題から、ラットを用いた他のモデルでの検討を試みた。Poly I:Cは腹腔内投与するとミクログリアを活性化し、発熱、活動量を減少させることが知られている。また、私はこのPoly I:Cで痛みが誘発されることを見出しており、脳内ミクログリアと痛みを評価するモデルとして適切であると考えた。そこで、このモデルで、PET撮像を行った結果、痛みに関与するいくつかの領域でミクログリアの集積が増加していることが分かり、脳内ミクログリアの活性化が痛みを誘発する可能性を見出した。次の課題は、この領域のミクログリアとリゾホスファチジン酸(LPA)の関係についてである。これを検証するために、まずはミクログリアにどのLPA受容体が存在するかについて調べる必要がある。そのため、私はIn situ hybridization/RNA Scopeの条件設定を行い、条件を確立させた。次年度は、これを用いてLPA受容体の細胞分布とミクログリア活性化との関係について検証する。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K16511
- 体系的課題番号 : JP20K16511
この研究課題の成果一覧
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第45回日本神経科学大会 2022年7月1日