その他

1997年4月 - 1997年4月

脳の動的時空間計算モデルの構築とその実装


カオスダイナミクスが脳の情報処理に果たす役割を構成的に研究するため,大規模なカオスニューロコンピュータを構築するための基礎技術を開発した.まずシステムに用いるカオスニューロンモデルを,実数の複雑さが表現可能なアナログ回路であるスイッチト・キャパシタ(SC)回路技術を用いて集積回路化した.次に,膨大な重みつき線形加算を行うシナプス回路をディジタルASICで実装した.これにより,大規模なカオスニューラルネットワークを構築するのに必要な集積回路技術およびシステム技術の基礎を確立した.同時に,非同期パルスニューロン回路を,連続時間が扱えるアナログ集積回路で実装し,その情報処理の可能性を探求した.このシステムで動的細胞集成体が形成でき,さらに簡単な結びつけ問題が解けることを示した.さらに,ニューロンの発火のダイナミクスをΛ型の非線形抵抗回路で実現するハードウェアニューロンを提案し,その集積回路化を試みた.また,このモデルで神経細胞のバースト発火やパルス伝搬などの現象を模倣することができた.