採用２年度目は、まず以下の課題について解明を試みた。
(課題Ｉ)微生物による凝集体の大型化促進機構の解明
(課題Ⅱ)凝集体上の微生物種の同定および環境条件変化に伴う凝集体の大型化促進効果の評価
詳細なデータを得るため、複数回、人工小型凝集体が懸濁した濾過海水中で細菌群集の培養を繰り返し行い、凝集体の沈降速度、細菌群集組成などのパラメータを得た。採用初年度の研究成果と合わせて、国際誌に投稿し、受理された（Yamada et al. Aquat Microb Ecol (Accepted)）。
次に(課題Ⅲ)現場海洋環境における凝集体と微生物群集把握、および凝集体ポンプの定量的解析、に関して、2012年に観測された西部北極海における研究航海(MR12-E03航海)のデータの分析を引き続き行い、採用初年度までの研究成果と合わせて、国際誌に投稿し、採択された（Yamada et al. 2015 J Geophys Res-Oceans, 120, 4638-4653）。2013年に行った太平洋熱帯・亜熱帯域の研究航海(KH13-7)により測定した現場凝集体の濃度を、他海域のデータ（上記の北極のデータを含む）と比較し、ポスターにまとめ、国際発表を行った(Yamada et al. Ocean Sciences Meeting, New Orleans, USA)。現在、その内容をさらに検討した上で、現場海水中の凝集体と細菌パラメータとの関係について論文をまとめ、国際誌への投稿を準備中である。