共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

高齢者のQOLを高める加工食品の創出

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K02309
体系的課題番号
JP19K02309
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

高齢者の低栄養状態改善および老人性疾患予防に資するため、食品加工残渣などの開発途上資源に見出されている機能性成分を有効活用し、嗜好性を加味した加工食品の開発を目指して研究を行っている。本研究では初年度より米糠の有効利用を中心に検討を行っているが、今年度の米糠添加パンの製パン性に関する検討は、米糠の添加割合による製パン性の変化について、前年度に検討が不十分だった官能評価を中心に行った。すなわち、米糠添加割合の異なるパンの、色彩、比容積、硬さ、凝集性などの物理的特性を測定するとともに、パネル数や実施方法を再検討して官能評価を行い、製パン特性を総合的に評価した。一方、米糠が有する食品成分は、調理加工の過程において損失または増強する可能性が考えられるため、今年度は高齢者の低栄養改善の観点からアミノ酸スコアに着目し、米糠の添加割合が異なるパンを用いて、そのたんぱく質構成アミノ酸の測定を行い、各種米糠添加パンのアミノ酸スコアを算出した。嚥下困難者向けのパンの開発では、米糠添加パンを用いて嚥下調整を行うとともに、菓子パンや総菜パンに近い状態のものの方が米糠成分を多く含有させられる可能性があることから、ゲル化剤や水分とともに米糠成分の添加や配合量などを検討している。他方、高機能嚥下食調理法の開発に関連し、米糠粉末を添加した米飯の検討では、これまで、0.3 mm孔のメッシュを通過させた米糠粉末を用いて試験を行ってきたが、粉末の粗さが食感の低下に繋がっている可能性が考えられたことから、0.1 mm孔のメッシュを通過させた米糠粉末を調製して炊飯試験を繰り返し、大量調理での炊飯においても良好な食感が得られる手法を明らかにした。昨年度はコロナウイルス感染拡大の影響を受け、大規模での官能評価が実施できなかったため、今年度中に環境が整えば本格的な官能評価を実施する予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K02309
ID情報
  • 課題番号 : 19K02309
  • 体系的課題番号 : JP19K02309