2010年4月 - 2014年3月
「政府間和解」と歴史問題に関する基盤的研究―戦争賠償の再検討を中心に―
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
対日平和条約および二国間の平和条約・賠償協定によって形成された「講和体制」は、戦争や植民地支配に起因する賠償請求権の問題を管理し,内外秩序の安定をもたらす仕組みであった。冷戦期に形成された講和体制は,対日平和条約に署名していなかった中国や韓国の請求権問題をも封じ込めていた。だが、1990年代前半には,中国や韓国で個人補償をもとめる慰安婦問題などが新たに噴出した。講和体制の安定性に不安を感じた日本政府は,講和体制を補完する新たな歴史和解政策としてアジア女性基金などを実施するが,その効果は限定的であった。冷戦の終焉と自民党支配のゆらぎとは、講和体制の安定性を揺るがしたのである。
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- 課題番号 : 22243016
- 体系的番号 : JP22243016