2007年 - 2008年
国民政府の形成と日中関係
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
本年度の研究では、満州事変期から日中戦争初期に至る日中関係を多角的に分析した。その際の力点は軍事面よりも外交面に置かれ、第2次幣原外交の展開と中国国民政府の対応、国際連盟との関係、さらには王正廷の動向などを研究した。
とりわけ、中国側の中心人物の1人が王正廷外交部長である。王正廷については、イェール大学に回顧録が残されているため、その全文を翻刻した。すなわち、拙編『王正廷回顧録Looking Back and Looking Forward』(中央大学出版部、2008年)がそれである。伝記的な研究としては、日中間で評価の別れる広田弘毅について研究を行った。その成果は、拙著『広田弘毅-「悲劇の宰相」の実像』(中央公論新社、2008年)として公刊された。
研究分担者の高文勝も、博士論文をさらに発展させて現地調査を重ねており、新史料の保存公開状況を論文に活かした。その成果の一端は、「戦間期の日中関係再検討:1918〜1931-王正廷の対日構想を中心に」と題して、日本国際政治学会で発表された。そこでは、王正廷を中心とする中国のいわゆる「革命外交」を単なる反日的な急進ナショナリズムとみなすのではなく、より実体に即した日中関係史像が描かれている。
中国および日本の外交文書はもとより、新聞や雑誌といった二次文献についても系統的に分析を加えたことは大きな特徴である。中国国民党と日本によって形成された当該期の中国対日外交と、それに基づいた日中関係をめぐるディスコース分析を行いながら、満州事変前後の実証的な研究のうえに均衡のとれた日中関係史像を再構築した。
とりわけ、中国側の中心人物の1人が王正廷外交部長である。王正廷については、イェール大学に回顧録が残されているため、その全文を翻刻した。すなわち、拙編『王正廷回顧録Looking Back and Looking Forward』(中央大学出版部、2008年)がそれである。伝記的な研究としては、日中間で評価の別れる広田弘毅について研究を行った。その成果は、拙著『広田弘毅-「悲劇の宰相」の実像』(中央公論新社、2008年)として公刊された。
研究分担者の高文勝も、博士論文をさらに発展させて現地調査を重ねており、新史料の保存公開状況を論文に活かした。その成果の一端は、「戦間期の日中関係再検討:1918〜1931-王正廷の対日構想を中心に」と題して、日本国際政治学会で発表された。そこでは、王正廷を中心とする中国のいわゆる「革命外交」を単なる反日的な急進ナショナリズムとみなすのではなく、より実体に即した日中関係史像が描かれている。
中国および日本の外交文書はもとより、新聞や雑誌といった二次文献についても系統的に分析を加えたことは大きな特徴である。中国国民党と日本によって形成された当該期の中国対日外交と、それに基づいた日中関係をめぐるディスコース分析を行いながら、満州事変前後の実証的な研究のうえに均衡のとれた日中関係史像を再構築した。
- ID情報
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- 課題番号 : 07F07017
- 体系的番号 : JP07F07017