共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

非抗原性ブタ気管細胞外マトリックスを用いた異種気道手術材料の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K08786
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

呼吸器系手術において生じる気管、気管支レベルでの気道欠損において欠損部または過切除範囲を補填しこれを可能にする医療材料、技術未だ十分とは言えない。ブタ気管細胞外マトリックス(CM) (Conconi MT,et al. Transpl Int 2005) が抗原性を有さずかつ臨床応用の可能性があることに注目し、平成24年度の科研研究を通して、ブタ由来ECMパッチが気道修復材料として使用可能だと示した。実臨床においては管状構造(tubular)としての材料が必要とされる場面は多いため、本研究では管状ECMが臨床で応用可能か、かつ前回の研究課題であったECM上の上皮化の促進が図れるのかについてである。
Detergent enzyme method(Conconi MT, et al. Transpl Int 2005;18:727-734) によりtubularECM(3cm(気管軟骨4リング))を6本作製した。作成方法に関しては特に問題はなかった。
全身麻酔下にイヌ気管を長さ4cm(気管軟骨6リング)に管状切除し、切除部位へ3cmのtubularECMを移植した。この時に内腔狭小化を防ぐためにシリコンチューブ(デューモンチューブ®:原田産業株式会社 気管用 TD ストレート型 長さ4cm 外径12mm)を内腔へ留置した。尾側、頭側を端々吻合し手術を終了した。1匹に行い術後経過は特に問題なく、3カ月経過したが特にトラブルは認めない。今後の改善点としてはレシピエントとなるイヌ気管は径が細く、移植するtubularECMは径がイヌ気管に比べ太く口径差があることだがこれは吻合方法を工夫することで改善が期待できる。麻酔方法も改善すべき点であり、麻酔維持を吸入薬のセボフルレンで行っているが、移植の際に挿管チューブを外す必要があり、プロポフォールにて維持を行う完全静脈麻酔が必要と考えられた。

ID情報
  • 課題番号 : 18K08786