講演・口頭発表等

粘土鉱物の相変態誘起を介したCs除去に関するアルカリ塩化物の反応促進効果

第33回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
  • 下山 巖
  • ,
  • 馬場 祐治*

開催年月日
2020年1月
記述言語
日本語
会議種別
開催地
名古屋
国・地域
日本

セシウムフリー鉱化法は粘土鉱物を異なる鉱物に変換する過程で放射性Csを除去するため従来よりも低温での土壌除染を可能にするが、その効率は添加剤に依存する。CaCl$_{2}$は700$^{\circ}$C付近で粘土鉱物の相変態を誘起し高い除染率を示すが、Clによる相変態誘起効果の詳細は不明である。本研究ではCs収着風化黒雲母(Cs-WB)を模擬土壌とし、相変態温度よりも低温でのCs-WBとClとの相互作用をNEXAFS分光法により調べた。NaCl-CaCl$_{2}$との熱処理後に塩を水洗浄で除去しスペクトルを測定した。400$^{\circ}$C付近で異なる化学結合状態をとる複数種のClサイトの形成が観測され、塩素を含むシリカモデルクラスターの電子状態をDV-X$\alpha$分子軌道計算により求め、それに基づいて光吸収断面積スペクトルを調べたところ、観測された成分は+1価、-1価、及び高価数のClにより解釈できることを明らかにした。Cl-O結合をとるClサイトはシリカネットワークを不安定にする効果を持つため、これにより低温での粘土鉱物の分解が促進されたと考えられる。さらに他の試薬との比較からClによる効果が添加剤の対カチオンの価数に依存することを示す。

リンク情報
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5068025