Multi-atom resonanceの再検証
第33回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
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- 開催年月日
- 2020年1月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 名古屋
- 国・地域
- 日本
Multi-atom resonanceが起こるかどうかを実験的に再検証した。X線照射によるMulti-atom resonanceとは、A-B二種類の元素からなる物質の片方の原子Aの内殻電子を共鳴励起した時に、原子Bからの蛍光X線放出(または光電子放出, オージェ電子放出)の強度が変調を受ける現象である。固体のCaCl$_{2}$について、Ca K-吸収端近傍で放射光エネルギーを掃引すると、共鳴吸収領域でCl K$\alpha$X線の強度が約40\%減少した。一方、CaCl$_{2}$の水溶液では、強度の減少は認められなかった。以上の結果から、CaとClが隣接する固体の場合は、Multi-atom resonanceが起こることが分かった。この現象を使えば、二成分系以上の物質において、対象元素の周りにある元素を特定できるので、EXAFSなどのX線吸収分光法を補完する新しい構造解析法となり得る。