共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

びん語びん東区方言群音韻史の総合的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K00546
体系的課題番号
JP20K00546
配分額
(総額)
3,380,000円
(直接経費)
2,600,000円
(間接経費)
780,000円
資金種別
競争的資金

本年度は本研究課題の二年目である。申請書に記載した研究スケジュールは、(1)慈溪方言のチェック調査(1回)、(2)福鼎方言の補充調査(1回)、(3)『びん東区方言音韻史研究』の執筆開始である。今年度に関してもコロナ禍が収束することがなく、中国への渡航が不可能な状態が継続したため、中国における現地調査(1)および(2)は実施することができなかった。それにともない、慈溪方言と福鼎方言のデータを前提とする(3)にも本格的には取りかかることができなかった。
このような現状に鑑み、本年度も令和二年度と同様、研究内容を(a)びん東区方言音韻史に関連する論文の執筆、および(b)中国語方言関連図書の収集と閲読に限定することにした。
(a)に関しては、「びん語的{胎盤}義詞」と「びん東区方言中表示{屁股}的詞語」が公刊された。ともに身体名称語(胎盤と尻)を扱った論文である。申請書に記したように、本研究課題は基礎語彙を再構の単位とし、多音節語も除外しない方針によりびん東区方言音韻史を構築しようとする。この二本の論文はいずれもそれを実践したものである。また口頭発表としては、「広東中山市隆都方言的音韻特点及其帰属」、「論原始びん東区方言的*iai韻」、「びん語中來自*m.r和*ng.r的来母字―兼論原始びん語在漢語史上的位置」を行った。いずれもびん東区音韻史に直接的に関わる内容である。
(b)に関しては、中国語方言学関連図書を広く収集、閲読した。『ほ仙方言調査報告』、『蛮話音韻研究』、『19世紀びん南話的語音与詞彙』などは本研究課題に必要不可欠な図書であった。とりわけ『蛮話音韻研究』は泰順県内二地点のびん東区方言を記述しているが、その二地点と私が『浙南的びん東区方言』で記述した泰順三魁方言を比較することで、泰順県内方言の音韻史を細かい部分まで構築することが可能となる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K00546
ID情報
  • 課題番号 : 20K00546
  • 体系的課題番号 : JP20K00546