論文

査読有り
2020年9月

ケイ酸カルシウム保温材と水酸化セシウムとの高温化学反応研究

Journal of Nuclear Science and Technology
  • Rizaal M.
  • ,
  • 中島 邦久
  • ,
  • 斉藤 拓巳*
  • ,
  • 逢坂 正彦
  • ,
  • 岡本 孝司*

57
9
開始ページ
1062
終了ページ
1073
記述言語
英語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.1080/00223131.2020.1755733

福島第一原子力発電所2号機においてペデスタル内よりもペデスタル外で線量が高くなっている現象が見つかっている。この線量の上昇については、原子炉格納容器内の配管に使用されている保温材(ケイ酸カルシウム)がガス状あるいは粒子状となって沈着したセシウム(Cs)と化学反応を起こして固着するとともに破損してペデスタル外に堆積することで線量が上昇した可能性があると考えている。そこで、本研究では、化学反応の有無を調べるため、反応温度等を調べることのできる熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、水素-水蒸気含有雰囲気下、最高1100$^{\circ}$Cまで温度を上昇させて、主なセシウム化合物の一つである水酸化セシウムと保温材との混合物に対して分析を行った。その結果、575-730$^{\circ}$Cの範囲で反応が起こり、試験後試料のX線回折パターンや元素分析機能付き走査型電子顕微鏡(SEM/EDS)による試料表面の元素分布の結果から、保温材の構成物質であるケイ素(Si)に加え、不純物として含まれるアルミニウム(Al)と安定な化合物(CsAlSiO$_{4}$)を形成することが分かった。したがって、ペデスタル外で見つかった高線量の原因として、保温材が関係する可能性があることが分かった。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1080/00223131.2020.1755733
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5068232
ID情報
  • DOI : 10.1080/00223131.2020.1755733
  • ISSN : 0022-3131
  • eISSN : 1881-1248

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