論文

査読有り
2017年8月

高温質量分析法を用いた気体CsBO$_{2}$の熱力学研究

Journal of Nuclear Materials
  • 中島 邦久
  • ,
  • 高井 俊秀
  • ,
  • 古川 智弘
  • ,
  • 逢坂 正彦

491
開始ページ
183
終了ページ
189
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.1016/j.jnucmat.2017.05.001

軽水炉のシビアアクシデント時、ボロンの影響を考慮した熱力学平衡計算によれば、燃料から放出されるCsの気相中での主な化学形の一つとして、CsBO$_{2}$(g)が生成すると予想されている。しかし、核燃料や核分裂生成物などの熱力学データを収めた編纂物によれば、これまで報告されているCsBO$_{2}$の蒸気圧データの不確かさのために、この解析に使用されたCsBO$_{2}$(g)の熱力学データの信頼性は乏しいと評価されている。そのため、信頼性の高いCsBO$_{2}$(g)の熱力学データを得ることを目的に、高温質量分析法によるCsBO$_{2}$の平衡蒸気圧測定を試みた。その結果、CsBO$_{2}$の平衡蒸気圧測定データを用いて、第二法則,第三法則処理により評価した気体CsBO$_{2}$の標準生成エンタルピー$\Delta$$_{f}$H$^{\circ}$$_{298}$(CsBO$_{2}$,g)は、それぞれ、-700.7$\pm$10.7kJ/mol, -697.0$\pm$10.6kJ/molとなり、過去に報告されている蒸気圧データを用いて得られた第二法則,第三法則処理による$\Delta$$_{f}$H$^{\circ}$$_{298}$(CsBO$_{2}$,g)の差異よりも小さくなったことから、これまでよりも信頼性の高い熱力学データを取得できたことが分かった。さらに、既存の$\Delta$$_{f}$H$^{\circ}$$_{298}$(CsBO$_{2}$,g)についても、本研究で得られた$\Delta$$_{f}$H$^{\circ}$$_{298}$(CsBO$_{2}$,g)の値と誤差の範囲で一致したことから、信頼性が高いことが分かった。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1016/j.jnucmat.2017.05.001
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5056413
ID情報
  • DOI : 10.1016/j.jnucmat.2017.05.001
  • ISSN : 0022-3115

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