2021年4月
技術解説「レーザーによる微量成分計測」
技術士
- 巻
- 652
- 号
- 2021-04
- 開始ページ
- 4
- 終了ページ
- 7
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 公益社団法人 日本技術士会
レーザー(LASER)とは、“Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation” の頭文字をとった呼称であり、誘導放出された光を増幅することによって得られる人工の光のことである。米国ベル研究所のタウンズ(C. H. Townes)らの理論にもとづき、米国ヒューズ航空機の研究所員のメイマン(T. H. Maiman)が独自の知見を加えることで、1960年にレーザーが発明された。その独創性の高さから「20世紀最大の発明」と評されている。レーザーは、(1)単色性に優れている(光の波長幅が狭い)、(2)指向性がある(まっすぐ進む)、(3)パルス照射が可能であることに特徴がある。この特徴を踏まえ、「光励起(特定の波長の光子を分子が吸収すること)」用光源にレーザーを適用すると、高感度・高選択性のある計測が可能となる。レーザーを照射するだけでよいため、従来法に比べて、短時間での計測が実現できる。レーザーによる微量成分計測法には、吸収法、ブレイクダウン法、蛍光法、ラマン散乱法およびイオン化法など多数存在する。レーザーイオン化は、飛行時間型質量分析法との組み合わせが良い。計測事例としてモノクロロベンゼンの計測データを示し、レーザー波長を適切に設定することにより、計測時間60秒でppbVレベルの計測が可能であることを技術紹介した。