MISC

2020年4月

【遺伝性疾患治療の最前線】球脊髄性筋萎縮症

遺伝子医学
  • 橋詰 淳
  • ,
  • 勝野 雅央

10
2
開始ページ
26
終了ページ
31
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)メディカルドゥ

球脊髄性筋萎縮症(spinal and bulbar muscular atrophy:SBMA)は,アンドロゲン受容体遺伝子上のCAG繰り返し配列の異常延長を特徴とするポリグルタミン病である。異常アンドロゲン受容体タンパク質が運動ニューロンの細胞核へ蓄積することで,緩徐な運動ニューロンの神経変性を生じる。テストステロン依存性の変異タンパク質の核内移行がSBMAの病態の本幹であると考えられており,テストステロンの抑制をすることがSBMAの治療につながることが動物モデルに対する基礎的研究で明らかになった。これらの基礎研究結果に基づき医師主導型の医薬品開発臨床試験を実施した結果,2017年8月にLH-RHアナログであるリュープロレリン酢酸塩の効能に「球脊髄性筋萎縮症の進行抑制」が追加された。現在は,真のエンドポイント(死亡や死亡関連イベント)に関する十分なエビデンスを構築するため,疾患登録システム(患者レジストリ)にデータの蓄積を開始している。また,さらなる基礎的検討の結果,核内に集積した変異ARがDNMT1の発現を誘導し,Hes5などの遺伝子のDNAメチル化を亢進させることでニューロン変性を惹起すること,変異ARがSrcの活性化を介して神経・筋システム変性を惹起すること,など新たな知見も集積されつつあり,新規治療開発も期待されている。(著者抄録)

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