2011年6月
rt-PAを投与した脊髄梗塞の1例 自験例3例を加えた検討
日本神経救急学会雑誌
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- 巻
- 23
- 号
- 2
- 開始ページ
- 37
- 終了ページ
- 41
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)へるす出版事業部
脊髄梗塞連続4症例の臨床経過を検討した。症例1は74歳男。既往として2型糖尿病と高血圧症があった。両上肢脱力を自覚し、救急車で当院に搬送され、急性期脳梗塞と診断した。アルテプラーゼを投与後、右三角筋、右上腕二頭筋の筋力低下が出現し、頸髄MRIにてC2-6の高位でT2延長領域を認めた。以上より脊髄梗塞と診断した。最終的に自力で食事摂取可能となり、mRS3でリハビリテーション病院に転院した。症例2は47歳女。右肩甲骨の痛みを自覚し右胸部〜右大腿にかけて温痛覚低下を認め、2日後に来院した。Th4-L4領域に温痛覚障害を認め、脊髄MRIにてC5-Th1レベルの脊髄前角を中心にT2延長領域、DWIにて前角に高信号を認めた。以上より脊髄梗塞と診断し、ヘパリン、エダラボンを投与するも感覚障害の拡大など階段状に悪化を呈した。最終的に不安定な痙性歩行のもと独歩退院した。症例3は23歳男。両下肢脱力、左下肢温痛覚鈍麻を認め、救急搬送された。脊髄MRIにて異常なく、メチルプレドニゾロン、ヘパリン、エダラボンを投与した。4日後には完全に回復し、脊髄虚血の急速改善と評価した。症例4は68歳女。体幹部から両鼡径部にかけての疼痛と両下肢脱力、左下腿感覚鈍麻を認め、救急搬送された。造影CTにて左大腿動脈の塞栓性閉塞と診断し血栓を摘除したが、下肢麻痺が残存した。脊髄MRIにてTh6-8、Th9-L1に脊髄腫大を認め、横断性にT2延長領域を認めた。心原性塞栓による脊髄梗塞と診断し、抗凝固療法とリハビリテーションを行うも重度の膀胱直腸障害、感覚障害、完全な両下肢麻痺が固定し、mRS5で療養型病院に転院した。
- ID情報
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- ISSN : 1619-3067
- eISSN : 2187-5006
- 医中誌Web ID : 2011337661