共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

極低温環境に対応したマイクロ圧電振動子による非接触駆動アクチュエータの試作研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H02054
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,940,000円
(直接経費)
13,800,000円
(間接経費)
4,140,000円

当該年度は1.極低温環境用アクチュエータの小型化を実現する予圧機構を用いた圧電振動子、および、2.極低温環境下でヘリウム中での音響放射圧を利用した浮上機構の2点について研究を行った。1.の項目では、予圧機構を実現するための設計手法に関する検討と、これに必要な各種材料定数を得るための実験環境の整備を行った。金属材料とセラミックスの圧電材料では膨張係数の差が大きく、圧電材料を金属材料で挟んだ状態の10cm3程度の大きさのアクチュエータにおいて、室温から極低温への300Kの変化により数十MPaの圧力変化が生じることが想定される。振動子設計のためのデータ収集とアクチュエータの評価を目的として、光学的・機械的測定系を構成して低温環境での変位・歪計測を行うために窓付きクライオスタットを導入した。また、有限要素法により温度依存性を考慮して設計を行った小型の予圧機構について導入した装置内での振動特性の評価を行い、予圧印加の効果が得られていることを示した。2.の項目では、極低温環境下のヘリウム中で超音波振動子により発生させた音響放射圧で、振動子先端に対向して配置した物体を浮上させることを目標とした。ヘリウムの密度は小さく、室温でも空気の7分の1程度であり、物体に作用する音響放射圧は、超音波振動子から媒質への音響放射効率は低下することが予想される。ヘリウムを媒質とした際に十分な音響放射圧が得られる振動子構成についてシミュレーションも交えて検討し、浮上が可能であることについてボルト締め型の圧電振動子により原理的な検証実験を行った。導入したクライオスタットを利用した装置内で光学的な測定を行い、低温環境で浮上が実現できていることを示した。

ID情報
  • 課題番号 : 19H02054