論文

査読有り 最終著者
2015年10月

承水路が付帯された谷津田周辺に生息するホトケドジョウの生息実態と季節的な移動(査読付)

応用生態工学
  • 田頭 直樹
  • ,
  • 國立 将光
  • ,
  • 岡野 豊
  • ,
  • 谷口 義則

18
2
開始ページ
99
終了ページ
114
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.3825/ece.18.99
出版者・発行元
応用生態工学会

本研究は,ホトケドジョウの保全のための基礎資料とするため,承水路が付帯設置された谷津田周辺における本種の生息実態を明らかにすることを目的とした.調査対象とした 2 地区(地区 A・B )では,横断工作物による移動阻害の度合いに相違があったが,両地区ともに承水路を中心に本種が生息していた.承水路と水路の連続性が高い地区 A では,周年ホトケドジョウが確認され, 1 月から 6 月にかけて水路から承水路へ移入する個体が確認された.さらに,6 月に成魚および未成魚が承水路に集中して分布していたため,承水路を繁殖場として利用していたと考えられた.地区 B においても承水路に未成魚が多く,重要な生息場となっていた.ただし,水路と承水路間の連続性が低く,冬季に水路から承水路への移入はほとんど確認されず,越冬や繁殖の場として十分利用されていない可能性が示唆された.個体数を応答変数とした調査月及び成魚・未成魚別に作成した生息分布モデルでは,月平均水温,調査地区,水深,水中カバー率が主な説明変数として選定された.生息分布モデルでは,月平均水温に対して,8 月は負の影響を,1 月と 6 月は正の影響を示した.湧水のある承水路は,繁殖場,未成魚の生息場,越冬地として機能することが示唆され た.特に,産卵基質となる落葉落枝や抽水植物等が存在する状況を維持し,移動が活発化する 1 月から 6 月と 8 月から 10 月にかけて,水路との連続性を高めれば,承水路の機能を向上することが可能であると考えられる.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.3825/ece.18.99
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005122069
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11528360
ID情報
  • DOI : 10.3825/ece.18.99
  • ISSN : 1344-3755
  • CiNii Articles ID : 130005122069
  • CiNii Books ID : AA11528360

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