2018年9月9日
糸状菌の細胞表層多糖解析による菌糸接着の理解と高密度培養への応用
第7回応用糖質フレッシュシンポジウム
- ,
- ,
- ,
- 開催年月日
- 2018年9月9日 - 2018年9月9日
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 口頭発表(招待・特別)
- 主催者
- 日本応用糖質科学会
糸状菌(カビ)は,バイオマス分解を介して地球規模の物質循環に大きく寄与する。また,その多様な物質生産能力により,酵素・化成品生産など産業利用される種も多く存在する。糸状菌は通常,細胞が連なった紐状の菌糸を形成し,液体培養すると菌糸が接着集合してペレット(菌糸塊)を作る。糸状菌の工業培養(数百kL)では,菌糸塊の形成は高密度培養の障害となる。筆者らは,モデル糸状菌Aspergillus nidulansを用いた細胞壁多糖の解析により,細胞壁からα-1,3-グルカンを欠損した株は,液体培養しても菌糸塊を形成せず菌糸が培地中に均一分散することを見出した(菌糸接着因子の発見)。また,産業用糸状菌である麹菌A. oryzaeでは,水溶性多糖ガラクトサミノガラクタンも菌糸接着因子として機能することを明らかにした。これら菌糸接着因子を欠損した分散型糸状菌は,野生株と比較して培養菌体量が増加していたことから,高密度培養に好適であることが示唆された。そこで麹菌の分散型菌株を用いてモデルタンパク質生産株を用いた高密度培養特性を評価したところ,菌糸の分散性は物質高生産に寄与することが実証された。
- リンク情報