講演・口頭発表等

2020年9月8日

物語の認知的ジャンルの特徴(2) ―読者がすすめる小説に基づく検討―

日本心理学会第84回大会

記述言語
日本語
会議種別
ポスター発表
主催者
日本心理学会
開催地
東洋大学 白山キャンパス

本研究では先行研究で選択したジャンルタグを使用し,読者がもつ認知的ジャンルの特徴を検討した。成人324名におすすめの小説を最大3編紹介させ,各小説がどのジャンルタグに当てはまるかを回答させた。その結果,選択率から「日常」「ミステリー」「恋愛」といったジャンルと認識される物語が多く,また,特定の作品では特定のタグのみが選択される傾向から,「古典」や「文学」は独立したジャンルと認識されることが明らかになった。相関分析からは「ミステリー」と「サスペンス」のように共通性がある考えられるジャンルと,「日常」と「ミステリー」のように排他的なジャンルがあることが示された。多次元尺度法の結果から,認知的ジャンルを示すタグは感情価と日常性という軸で分布すると解釈された。これらの特徴は,専門的知識に基づくジャンルでは注目されてこなかった観点であり,読者がもつ認知的ジャンルは教材選択に有用な材料の一つであろう。