基本情報

所属
情報・システム研究機構 国立極地研究所 教授
南極観測センター 副センター長(観測担当)
国際・研究企画室 副室長
学位
博士(理学)、1995年(東北大学)

J-GLOBAL ID
201401070106640277

研究課題と活動状況:
◎南大洋のインド洋区ならびにオーストリア区における溶存無機炭酸物質の挙動に関する研究
「しらせ」に搭載する自動測定装置を開発し、第29次隊から大気中および表層海水中の二酸化炭素濃度(分圧)の測定を開始した。その結果として、南大洋インド洋区の表層海水中の二酸化炭素濃度は経年増加傾向を示し、その増加率は大気中の二酸化炭素濃度増加率よりもやや小さいことが分かった。「しらせ」の観測は同一時期に同一側線で測定できるメリットがある。しかし、表層海水中の二酸化炭素濃度は、物理環境や生物活動の影響を受けて、夏季を通して一定ではない。つまり、「しらせ」で取得したデータが必ずしも夏季の代表である訳ではなく、経年変化や年々変動の議論を進展させるためには、夏季の間、同一側線において複数の観測を実施する必要があった。これを実現する機会が2001/02シーズンにおける複数船時系列観測で訪れた。東経140度を測線として、12月~1月にかけて4つの航海で構成される観測計が立案され、このうち東京大学海洋研究所「白鳳丸」および第43次隊「タンガロア号」の航海に乗船して、溶存無機炭酸物質の挙動に関わる観測を行い、炭酸系の詳細な季節内変動とその要因を明らかにすることができた。
◎バレンツ海・グリーンラン海における溶存無機炭酸物質の挙動に関する研究
この海域の年間を通した大気・海洋間の二酸化炭素交換量を定量的に評価することを目的として、夏季を中心とする観測から、溶存炭酸物質の分布や変動に関する研究が開始されていた。自ら参画する機会を得た、1996年以降、4回の観測航海に参加して、秋季~冬季~春季のデータの蓄積を図り、当該海域が春季~夏季に大きなCO2吸収源となることを明らかにした。
◎第Ⅷ期日本南極地域観測事業6か年計画重点研究観測サブテーマ2「南大洋生態系の応答を通して探る地球環境変動」
この研究計画は、「ふじ」や「しらせ」の観測の蓄積を活用しつつ、将来起こり得る南極海の温暖化、大気中二酸化炭素濃度増加に伴う海洋酸性化などの変化が生態系に与える影響を解明することを目的とする。個別に興味を示す小規模の研究者グループが集まり議論を重ね、一つのグループを形成して計画を練り、グループ内および東京海洋大学等の関連諸機関や観測隊との連絡調整等を担当してきた。そして、第52次隊および第53次隊における観測航海においては、溶存炭酸系の観測を中心に船上観測を実施した。
◎南極観測センター
2014年4月:プログラムコーディネーター
2016年4月:副センター長(観測担当)
南極地域観測事業における研究計画調整や観測隊活動支援を担当している。
極域観測歴:
(1)南極域:
第39次南極地域観測隊(越冬隊)(1997-1999)
東京大学海洋研究所・白鳳丸観測航海(2003)
第43次南極地域観測隊(夏隊員、専用観測船(2003)
第44次南極地域観測隊(越冬隊)(2003-2005)
東京海洋大学・海鷹丸観測航海(2006)
第52次南極地域観測隊(夏隊・海鷹丸)(2011)
第53次南極地域観測隊(夏隊・海鷹丸)(2012)
第54次南極地域観測隊(越冬隊)(2012-2014)
(2)北極域:
バレンツ海海洋観測(1996)
グリーンランド海海洋観測(1999)
バレンツ海海洋観測(2000)
グリーンランド海海洋観測(2001)

論文

  41

MISC

  52

講演・口頭発表等

  34

社会貢献活動

  21

その他

  1
  • (1)2002-2003シーズンに行った南大洋オーストラリアセクタ東経140-150度線上における複数船時系列観測については、表面海洋中の二酸化炭素濃度の季節変化についてとりまとめを終え、次のステップとして、その変動要因を解析中である。中深層の溶存炭酸物質の変動が直接的要因であり、生物活動、大気海洋間二酸化炭素交換、表層混合層内への次表層水の取り込みの3つの要因からの影響を定量的に評価することができた。 (2)2006年、2008年、2009年に実施したリュツォ・ホルム湾沖の氷縁域の表面海洋中の二酸化炭素濃度観測はデータの蓄積が進み、いくつかの興味深い現象が明らかになってきている。先ず、夏期ブルーミング開始前においては物理的プロセス(水温・塩分変化)が卓越する分布を示すことがあきらかとなった。これは、初夏の観測から冬季の状況を推測可能であることを示唆する。また、2009年1月には、オーロラ・オーストラリスにより、これまで不十分であった氷海域の観測を集中的に実施し、開水域に比べ氷海域において、極めて低い表面海洋中の二酸化炭素濃度が観測された。 (3)しらせ船上で観測を継続してきた表層海洋中の二酸化炭素濃度観測データは、南極域大気・海洋系の二酸化炭素の長期トレンドという観点から解析を進め、海域毎の差異がありつつも、ほぼ大気中二酸化炭素濃度と同程度の増加傾向にあることが明らかになった。これに関連し、1980年代に開始された「ふじ」および「しらせ」船上におけるpH観測資料を解析し、酸性化傾向を示すことを見いだした。