その他

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  • (1)2002-2003シーズンに行った南大洋オーストラリアセクタ東経140-150度線上における複数船時系列観測については、表面海洋中の二酸化炭素濃度の季節変化についてとりまとめを終え、次のステップとして、その変動要因を解析中である。中深層の溶存炭酸物質の変動が直接的要因であり、生物活動、大気海洋間二酸化炭素交換、表層混合層内への次表層水の取り込みの3つの要因からの影響を定量的に評価することができた。 (2)2006年、2008年、2009年に実施したリュツォ・ホルム湾沖の氷縁域の表面海洋中の二酸化炭素濃度観測はデータの蓄積が進み、いくつかの興味深い現象が明らかになってきている。先ず、夏期ブルーミング開始前においては物理的プロセス(水温・塩分変化)が卓越する分布を示すことがあきらかとなった。これは、初夏の観測から冬季の状況を推測可能であることを示唆する。また、2009年1月には、オーロラ・オーストラリスにより、これまで不十分であった氷海域の観測を集中的に実施し、開水域に比べ氷海域において、極めて低い表面海洋中の二酸化炭素濃度が観測された。 (3)しらせ船上で観測を継続してきた表層海洋中の二酸化炭素濃度観測データは、南極域大気・海洋系の二酸化炭素の長期トレンドという観点から解析を進め、海域毎の差異がありつつも、ほぼ大気中二酸化炭素濃度と同程度の増加傾向にあることが明らかになった。これに関連し、1980年代に開始された「ふじ」および「しらせ」船上におけるpH観測資料を解析し、酸性化傾向を示すことを見いだした。