2021年1月
高照射量領域まで中性子照射された原子炉圧力容器鋼の粒界リン偏析及びその照射脆化への影響
Journal of Nuclear Materials
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- 巻
- 543
- 号
- 開始ページ
- 152564\_1
- 終了ページ
- 152564\_10
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.1016/j.jnucmat.2020.152564
加圧水型軽水炉(PWR)または試験炉において0.3-1.2$\times$10$^{20}$ n/cm$^{2}$ (E$>$1MeV)の範囲で中性子照射された原子炉圧力容器鋼(リン含有量: 0.007-0.012wt.\%)について、粒界リン偏析量をオージェ電子分光分析により測定した。粒界リン偏析量は照射量に依存して増加した。速度論に基づくシミュレーションでも同様の粒界リン偏析量の増加を確認した。また、リン含有量が0.015wt.\%(現在の国内原子炉圧力容器鋼の最大値相当)の材料では、1.0$\times$10$^{20}$ n/cm$^{2}$まで照射した場合、粒界に偏析するリンの割合は10\%程度増加することが予測された。PWR及び試験炉での照射材の結果を比較したところ、明確な照射速度効果は確認されなかった。文献データも含めたリン含有量0.026wt.\%(海外炉のA533B鋼の中でも比較的高いリン含有量)までの材料に対して、粒界リン偏析量、照射硬化、延性脆性遷移温度(DBTT)シフトの各関係について調べたところ、照射硬化とDBTTシフトの間に直線関係が確認された。この直線関係は、このようなリン含有量の高い材料においてもDBTTの上昇は照射硬化で説明することができること、すなわち非硬化型脆化である粒界脆化の顕在化の可能性が低いことを示している。
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- ID情報
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- DOI : 10.1016/j.jnucmat.2020.152564
- ISSN : 0022-3115