共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

新規シスプラチン誘発筋萎縮バイオマーカーmiRNAの同定と機能解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K06706
体系的課題番号
JP18K06706
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

骨格筋量の減少はがん患者の予後に悪影響を及ぼすことが報告されている。昨年度までに、シスプラチンは骨格筋、血漿サンプル中の多種多様なmiRNA発現に影響を与え、骨格筋および血漿中のエクソソームにおいて共に発現増加するmir-5129-5pなどのmiRNAはシスプラチンによる筋萎縮時の診断マーカーとして有用であることを示唆した。しかし、mir-5129-5pはヒトにおいて存在しないmiRNAだった。そこで、他にシスプラチンの筋萎縮における診断マーカーとして有用なmiRNAを探索した結果、C2C12 myotubes において、シスプラチン処置により濃度依存的に mir-29(a,b およびc)-3p の発現増加及び IGF-1の発現レベルの低下が認められた。mir-29(a,b およびc)-3pは、IGF-1をターゲットとすることが知られている。また、シスプラチン処置により筋委縮原因遺伝子のMuRF1 およびAtrogin-1 が発現増加したが、IGF-1の共処置によりこれらの発現増加を抑制した。さらに、シスプラチン処置によるリン酸化 Akt およびp70S6 kinase の低下は IGF-1 の共処置により抑制された。本研究の結果より、シスプラチン誘発筋委縮時にはmir-29(a,b およびc)-3p 発現増加に伴い、IGF-1発現が減少し、タンパク質合成経路が抑制されていることが明らかとなった。さらに、IGF-1を補充することで筋萎縮が抑制される可能性が考えられた。したがって、骨格筋中のmir-29(a,b およびc)-3p の発現増加もシスプラチンによる筋萎縮時の診断マーカーとして有用である可能性がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K06706
ID情報
  • 課題番号 : 18K06706
  • 体系的課題番号 : JP18K06706