MISC

2018年1月

過敏性腸症候群患者における特性不安と拡張刺激時の大腸運動変化の関連についての検討

心身医学
  • 町田 貴胤
  • ,
  • 町田 知美
  • ,
  • 佐藤 康弘
  • ,
  • 田村 太作
  • ,
  • 庄司 知隆
  • ,
  • 遠藤 由香
  • ,
  • 福土 審

58
1
開始ページ
74
終了ページ
79
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.15064/jjpm.58.1_74
出版者・発行元
(一社)日本心身医学会

目的:過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)では、脳腸相関が主たる病態である。不安はIBSの増悪因子の一つであり、一般的に不安が高い場合には外的刺激に対する過敏性が増強され大腸運動機能に影響を及ぼすと推察されるが、IBS患者の不安と大腸運動機能の関連について具体的な報告はない。今回われわれは、IBS患者における不安と拡張刺激時の大腸運動変化の関連について検討した。方法:2010年1月〜2015年12月までの間に東北大学病院心療内科を受診したIBS患者のうち、大腸内圧検査を施行した20例を抽出した。圧トランスデューサーによる大腸運動測定とバロスタットバッグによる拡張刺激を行い、刺激前後のmotility indexの変化(ΔMI)とSTAIで評価した状態不安、特性不安との相関について解析した。結果:Subtype別ではIBS-Dが10例、IBS-Mが7例、IBS-Cが3例であった。IBS-Cでは全例うつ病の合併あり、IBS-DとIBS-Mで1例ずつ強迫性障害を合併していた。特性不安の平均スコアは50点以上であり、大多数の患者で高い特性不安水準を示していた。状態不安とΔMIの間に有意な相関はみられなかったが(p=0.170)、特性不安とΔMIの間に有意な相関を認めた(p=0.040)。結論:IBS患者においては、拡張刺激時の大腸運動の増加と特性不安の上昇が関連することが示唆された。拡張刺激時の大腸運動は大腸壁内反射経路のみに依存すると考えられてきたが、中枢機能との関連も考慮する必要がある。(著者抄録)

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.15064/jjpm.58.1_74
ID情報
  • DOI : 10.15064/jjpm.58.1_74
  • ISSN : 0385-0307
  • 医中誌Web ID : 2018081423

エクスポート
BibTeX RIS