共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

島嶼環境に直面した広域分布種の送粉生態型分化と侵入定着過程の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K06317
体系的課題番号
JP21K06317
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

伊豆諸島で訪花昆虫としての利用が夜間から昼閒昆虫へシフトし送粉生態型が分化している広域域分布種ツリガネニンジン類を用いて島嶼での訪花昆虫相のシフトに対してどのように適応した繁殖特性をもつ送粉生態型がみられるのか,伊豆諸島でのこの分化が侵入定着過程のどこで生じたのか,本土からの侵入定着はどのような経路を通じて起こったのか,伊豆諸島で見られた現象が他の地史的歴史をもつ離島でもみられるのかを解明・検証するため令和3年度は以下の調査を実施した。
野外調査は伊豆半島の2ヶ所,ロナ感染症拡大のため当初の予定を変更して島嶼での調査は延期し,代わりに隠岐の島対岸の本土の島根県浜田市海岸の各集団で次の2点を行った。(1)送粉生態型の特性として訪花昆虫相の調査(2)送粉生態型の特性として蜜分泌特性(蜜量,蜜濃度,蜜成分)の調査。現地で蜜採取を行い,研究室でHPLCによる成分・濃度分析を行い,伊豆諸島と伊豆半島,島根県海岸と近畿地方の資料も含めて比較した。(3)侵入定着過程の推定のためのDNAサンプリングを調査地で10-15個体から採取しシリカゲルで乾燥して保存した。
その結果,(1)訪花昆虫相:島根県浜田市の海岸では伊豆半島の内陸と同様に夜間の訪花昆虫を利用し,昼閒の訪花昆虫を保証として利用していることが明らかになった。(2)蜜量については集団内変異が大きく集団間変異は認められなかった。蜜の成分は開花後分解が進み変化したため開花直後の蜜を利用する必要があることが明らかになった。糖成分は調査間での違いは認められなかった。糖濃度は島嶼2集団よりも本土側の方が高い傾向が認められたがサンプル数が少ないためさらに分析数を増やして結論づける必要がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K06317
ID情報
  • 課題番号 : 21K06317
  • 体系的課題番号 : JP21K06317