2021年4月 - 2023年3月
高精度な高齢者の神経筋骨格モデルの作成―転倒予防システムの実現を目指して―
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
高齢者の転倒を予防するには,彼らの歩行中の安定性を評価し転倒リスクの高い個人を特定することが重要である.歩行の安定性に悪影響を与える要因の1つに,蹴り出し時に発生する推進力の低下が仮説として挙げられているが,推進力と安定性の関係性は完全には明らかにされていない.今年度はこれらの関係性を明らかにするために,歩行モデルを使用したシミュレーション研究(1)と実験計測研究(2)の2つに取り組んだ.
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(1) 歩行モデルとして,当初の計画ではfoot placement estimator (FPE) を使用する予定だったが,simplest walking model (SWM) とrimless wheel (RW) を使用した.推進力を計算するために,SWMを使用し,停止に要する歩数Nを計算するために,RWを使用した.歩数Nを安定性の間接的な指標として使用し,Nが少ないほど停止状態に近い歩行を表す.結果として,推進力の低下が歩幅の低下と歩行速度の低下の組み合わせによって達成されることを明らかにし,前者はNを増加させ,後者はNを減少させた.前者は人の歩行実験の結果と一致しているが,後者は実験的に検証されていなかった.この結果は,高齢者に良く見られる推進力の低下のメカニズムを調査する上で重要な洞察を提供した.
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(2) 埼玉県立大学の小栢進也准教授,同大学院生の喜多俊介氏,東京湾岸リハビリテーション病院の片桐夏樹氏との共同研究として,3次元動作解析装置とトレッドミルを使用した歩行の計測実験を行った.8月には若年者を,11月から1月には高齢者を対象に実験を行った.この実験は,①(1)のシミュレーション研究と人の歩行計測の結果の比較により,人の歩行戦略に関する新たな洞察を得るため,②安定性の新たな指標を提案するため,に行った.現在,論文投稿に向けてデータを解析している最中である.
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(1) 歩行モデルとして,当初の計画ではfoot placement estimator (FPE) を使用する予定だったが,simplest walking model (SWM) とrimless wheel (RW) を使用した.推進力を計算するために,SWMを使用し,停止に要する歩数Nを計算するために,RWを使用した.歩数Nを安定性の間接的な指標として使用し,Nが少ないほど停止状態に近い歩行を表す.結果として,推進力の低下が歩幅の低下と歩行速度の低下の組み合わせによって達成されることを明らかにし,前者はNを増加させ,後者はNを減少させた.前者は人の歩行実験の結果と一致しているが,後者は実験的に検証されていなかった.この結果は,高齢者に良く見られる推進力の低下のメカニズムを調査する上で重要な洞察を提供した.
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(2) 埼玉県立大学の小栢進也准教授,同大学院生の喜多俊介氏,東京湾岸リハビリテーション病院の片桐夏樹氏との共同研究として,3次元動作解析装置とトレッドミルを使用した歩行の計測実験を行った.8月には若年者を,11月から1月には高齢者を対象に実験を行った.この実験は,①(1)のシミュレーション研究と人の歩行計測の結果の比較により,人の歩行戦略に関する新たな洞察を得るため,②安定性の新たな指標を提案するため,に行った.現在,論文投稿に向けてデータを解析している最中である.
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 21J10122
- 体系的課題番号 : JP21J10122
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
2-
Scientific Reports 13(1) 2023年9月7日 査読有り筆頭著者責任著者
-
Journal of Biomechanics 111071-111071 2022年5月 査読有り筆頭著者責任著者
講演・口頭発表等
3-
LIFE2022 2022年8月
-
9th World Congress of Biomechanics 2022年7月12日
-
The 11th Asian-Pacific Conference on Biomechanics 2021年12月3日
メディア報道
1-
東京都立大学 2022年4月20日 インターネットメディア