基本情報

所属
山梨県富士山科学研究所 主任研究員
学位
修士(農学)(1992年3月 東京大学)

J-GLOBAL ID
200901025019032460
researchmap会員ID
0000200316

造園学-ランドスケープ-環境保全の研究者です。地域の環境の実態(たとえば自然環境)と社会や人の「関係」に注目して研究をしています。

業績を整理してみると、1)ビッグデータを用いた統計的生態系モデルの気候変動リスク評価への応用、2)学校林教育活動の実践を基盤とするESDとSD推進(特にパートナーシップ構築を含むアクション)の提言、3)世界遺産富士山の保存管理にかかる基本方針と実施計画の提案、の3つの領域で「専門家の検討を経て国際的な議決や活動・報告(世界の動き)に影響を与えた研究」になっています。


A.第3回自然環境保全基礎調査解析において環境要素間の連関行列の因子分析により、温度要因、地形地質的要因、降水要因と植生の連関性を図示し日本の自然環境モデルを示したこと。1989年報告書刊行1990年学術論文刊行及び学士称号請求論文提出

B.温度的植生帯を精度良く再現する一般化線型モデルを作成したこと。1990年国内研究集会、1991年国際会議発表

C.温度的植生帯を温度以外の要素で分割するモデルの導入により潜在自然植生モデルを作成し、このような統計的モデルが気候変動の影響の考察に利用できることを示したこと。1992年修士学位請求論文提出1993年学術論文刊行

A-C.アウトリーチ:気候(温度・降水)変動による植生への影響の評価に、統計的自然植生モデルを利用する方法が気候変動に関する政府間パネル(IPCC)をハブにして活用されるようになった。(IPCC第3次評価報告書,2001など。恒川篤史らのエフォートによる)1993-1998年

D.潜在自然植生モデルを用いて植生区分別自然度構成比を算出し日本の環境・生物多様性の安定のために「人の居住する領域」における人とランドスケープの相互作用(共生)の効果が大きいことを予測したこと(→Eにつながる)。1992年修士学位請求論文提出1993年学術論文刊行

*主に東京大学・東京大学大学院における井手久登武内和彦を指導教官とし、恒川篤史を補助指導者とする研究、および兵庫県立人と自然の博物館における研究。


E.人とランドスケープの相互作用の場を多く確保するため、日本の「人の居住する領域」に広く多数存在する組織的活動の場である学校に注目し、存続が困難と考えられてきた学校林の活用を考え、「社会的パートナーシップにより支えられ、教育的付加価値を果実とする新たな学校林」の概念整理を行い、確保された人と自然環境の接点としてその整備活用を推進し、山梨県で実現したこと。さらに「新たな学校林」を山梨県に限らず普及啓発したこと。

「新たな学校林」概念を具体化・実現し維持するために下の3点を活動のデザインに組み込んだ。

1)林業技術者の指導者としての参加のもと、安全な教育活動の場として学校林を利用する体制を整えたこと。

2)NPO本部・スポンサー企業等を説得し、教育支援の性質に合うよう短期的支援・スポンサーシップから中長期的支援・パートナーシップへの変革を促し、教育を支える社会的パートナーシップの構築に注力したこと。説得の内容はNPOや企業側に、将来への責任を追求する変革を求め、特に次世代を対象に将来への責任を果たすことは将来のボランティアや企業構成員の知識基盤となりNPOや企業の活動・存続にメリットをもたらす、というもので、のちに言われる「PRI,ESG[コフィー・アナン国連事務総長,2006]」に重なる。

3)社会的パートナーシップを基盤にして、教員が教育の内容と成果に専念できる環境を整えたこと。1997-2001年(協力者・共同作業者・援助組織・援助企業が多数のため、紹介は割愛します)

E.アウトリーチ:その後、学校林は全国的には減少傾向(学校数も減少傾向)であるが、「新たな学校林」の新設は継続しており、8都県においては学校林保有学校数が増加している(林野庁2022年調査)。

E.アウトリーチ:国連事務局WSSD担当責任者・日本国政府WSSD代表団顧問・国内NGO会長を共同議長とし、他国連機関・外務省・環境庁他政府機関・NGOが参集し、ヨハネスブルクサミット(WSSD,2002)への日本国の提案を検討する会議で、現在の環境変化の中でのサステナビリティのための「保全概念の理解」の重要性を述べた上で、保全の理解に必要な多面的思考と教育事例としての学校林活動に触れ、

1)持続可能な発展のためには、それに対応する新たな社会の仕組みと、環境的・保全的視点で新たな発想のできる社会の構成員が求められること。

2)そのために、「山梨における新たな学校林」のような、社会に支えられ、若齢者が自己の環境を認識し、環境と自らが相互に関わる教育の場が重要な役割を果たす可能性があること。

3)若齢者が自らの自然的・社会的環境と相互に関わりながら育つ権利を認めるべきこと。

を主張するスピーチを行い、共同宣言取りまとめのディスカッションに参加し、日本国によるWSSD2002でのESD推進の提案・「国連ESDの10年」の第57回国連総会(2002)提案と満場一致採択への後押しを行ったこと。(パートナーシップ形成に最初に本部レベルで同意していただいたNGOのオイスカインターナショナルの招待による。)2001年

*主に山梨県環境科学研究所における研究。


F.富士吉田市山中湖村を対象とする計画策定に参画し、ステークホルダーと行政のパートナーシップ、参加と包摂を旨とする地域社会の計画策定-事業実施プロセスの実現に尽力したこと。2002-2014年

F.アウトリーチ:都市計画・景観計画に住民やステークホルダーを積極的に取り込み、「専門家による情報提供-住民意見の集約-基礎自治体による事業」の体制を整えた。個別には、新倉山浅間公園の適正管理による眺望保全、明神山パノラマ台の保全価値の明確化などにより価値の高い眺望地の保全に寄与した。その後富士山地区はミシュラングリーンガイド日本版初版(2007)で三つ星観光地を獲得するなど非常に高い国際的評価を得ていったが、国外向けガイド類に保全された眺望地が紹介されている。(ミシュラングリーンガイドジャパン2015年版では新倉山浅間公園が表紙写真に採用されている)-2007年

F.アウトリーチ:富士山の世界遺産登録にあたり、登録決定前に計画された富士山の顕著で普遍的な価値を毀損する可能性が懸念されていた大規模開発(リンク先P7)の事業者(多国籍金融資本)を説得し日本イコモスとの対話に誘導したこと。(赤坂信の富士山への眺望保全研究に基づくICOMOS総会の議決を根拠とするUNESCOのキャンペーン事例を提示し説得した。イコモスジャパンのエフォートで開発は断念された。この結果を得られたのは、赤坂信により「富士山への眺望」がUNESCOが守るべき遺産の類型の一つと認められていたことが大きく寄与している。)この事案は、世界遺産委員会の議決WHC40COM7B.39の第7項において、「すでに推進されている保存管理手法として、資産の管理を保護規制だけでなく、文化的アイデンティティやそれに伴う社会的責任を明らかにしていく事でも価値を高めていける事を実証した」と評価される「実証例」の一つとなったと思われる他、次項の基本条例・景観配慮条例による保存管理体制のアイデアの元となった。2013-2014年

F.アウトリーチ:世界遺産リスト登録議決でWHCから改定・見直しを求められた世界遺産富士山のヴィジョン・包括的保存管理計画・基本条例・景観配慮条例などの制度整備に1)富士吉田・山中湖の事例を前例として持ち込み、ステークホルダーと行政のパートナーシップ、参加と包摂を基本とする制度整備を提案し、基本条例制定等体制・制度構築に寄与したこと。2)富士山を一つの文化的景観として保全するためのモニタリングと保全制度の整備を提案したこと。富士山の保全体制は2016年のWHCで新たな保全手法を用い、組み合わせ5C保全(リンク先7./p8-10参照)体制であることなどから非常に高く評価され、他の文化遺産への知見の提供を求められている。(市川満山梨県理事[当時]及び山梨県富士山保全推進課との共同作業)2013-2014年

参考:世界遺産登録決定時のWHC議決(2013) 制度整備後のWHC議決(2016) 富士山の保全体制は国内では文化庁、海外ではイコモス/WHCによってコミュニティの参加する保全体制の貴重な成功事例・参考事例として評価されている。

*主に山梨県環境科学研究所における研究。


(文中敬称略)国際的業績を目的に研究しているわけではなく、メインの仕事は地域環境・ランドスケープの問題を考えることです。国際的な展開につながった上の3群の研究は、いずれも地域環境・ランドスケープの問題に地道に取り組むうちに、世界的な動きになったものです。地域的アウトリーチの例としては1997年度に山梨県内の集落ごとに系統維持されてきた作物品種を「ランドスケープと結びついた遺伝資源」と位置付け、評価・保護・活用していくことを県の農業担当部門に提案し、農業部門で引き継がれ、あけぼの大豆ブランドの確立に繋げていただいた、などがあります。

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経歴

  17

委員歴

  27

主要な論文

  28

主要なMISC

  21

主要な書籍等出版物

  10

主要な講演・口頭発表等

  29

主要なWorks(作品等)

  6

共同研究・競争的資金等の研究課題

  5

主要な学術貢献活動

  11

主要な社会貢献活動

  86

メディア報道

  4